「目がピクピク、肌がヒリヒリ、シミや吹き出物、膝の痛み」ほか症状別<保険適用>で受けられる診療一覧【医師監修】
日本の健康保険制度では、体に異常があった場合の診察・検査費や治療に必要な薬や注射(厚生労働省が認めた薬価基準にあるもの)などは保険適用される。負担割合は年齢や収入によって異なり、1~3割の負担で治療が受けられる。一般にあまり知られていないと思われる意外なものまでまとめた。不調を感じている人はすぐにチェックしておこう。58才記者が悩んでいたひざの痛みほか、皮膚科、眼科など、症状別に受けられる保険診療を一覧でご紹介する。
教えてくれた人
丸山公(こう)さん/整形外科医。関町病院院長。変形性膝関節症のエキスパート。
保険適用で受けられる診療はいろいろある!
ひざの痛みを抱える本誌記者Y(58才)が整形外科を訪れたところ、変形性膝関節症の初期症状だったことが判明。
「痛みや違和感があれば、検査して異常がないか診てもらえばいい。症状があれば保険適用ですし、何もなければ安心ですよね」とは、関町病院(東京・練馬)の院長で、膝関節症のエキスパート・丸山公さんだ。
以下で保険適用の変形性膝関節症の治療法について紹介する。
保険適用の変形性膝関節症の治療法
まずは痛みをとるための処方が中心の保存療法からスタート。重症化すると大がかりな手術が必要になる場合も。
※費用は保険適用で3割負担の場合の目安
【1】保存療法
●消炎鎮痛剤(痛み止め)
内服薬で痛みを抑えるが、常用による副作用が心配。
●ヒアルロン酸関節内注射
軟骨が摩耗した関節にヒアルロン酸を直接注入する。効果は数週間持続し、片ひざ注射1回、約1000円。
【2】ラジオ波治療
ひざ関節に細い針を刺し、ラジオ波を照射して痛みを抑える。2023年6月から保険適用となり、効果は1~2年持続。約5万円。
【3】装具療法
杖や歩行器、ひざに装着して歩行をサポートし、痛みを緩和する装具などがある。医師の判断により保険適用されることがあるが、その場合でも自費で支払った後で、「医証(※3)」をもらって保険者に提出すれば、差額が受け取れる。装具によるが、費用は5万~100万円程度(自費負担額)。
(※3)医証は、医師の証明書の略。
【4】手術療法
人工膝関節置換術などの大がかりな外科手術で約60万~80万円。入院が必要なため、部屋代などがプラスされる。高額療養費制度を利用すれば、10万円程度に抑えられる。
→58才記者の悩み「ひざがポキポキ鳴る」原因は変形性膝関節症の初期症状だった!対処法を医師が解説
ほかにもある!皮膚科や眼科ほか保険適用で受けられる診療一覧
診療科別に健康保険が適用される診療の条件や治療法をまとめた。保険適用外の治療法や費用と比べながら、悩んでいる症状を治すためにぜひ活用して欲しい。
→記者が10年以上悩んだ赤ら顔は「顔のメタボ」とも呼ばれる炎症性疾患だった!腸内環境も関係するという原因、症状と治療・対処法を皮膚科医が解説
皮膚科
「乾燥」の治療
<保険適用の条件>
ほとんどが保険適用可。ただの乾燥ではなく、アトピー性皮膚炎やアレルギー性疾患などが隠れている場合もある。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
主に外用の保湿剤が処方されるが、漢方やビタミン剤などの内服薬が処方されることもある。診察・検査・治療費(薬代)を合わせて2000~1万円ほど。軽度なら2週間ほど、重度の場合は効果が表れるのに数か月かかることもある。
<保険適用外の治療法と費用など>
フォトフェイシャルや美容点滴・美容注射などで、肌に潤いを与えることができる。費用の目安は、1回5000~2万円ほど。
「日焼け」の治療
<保険適用の条件>
ヒリヒリと痛んだり、水ぶくれができるなど重度の日焼けの場合のみ、保険適用される。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
皮膚が炎症している状態なので、炎症を抑える外用薬、炎症や痛みを抑える内服薬が処方される。診察・検査・治療費(薬代)を合わせて2000~5000円程度。だいたい1~2週間でおさまる。
<保険適用外の治療法と費用など>
美白目的なら肌の漂白剤とも呼ばれる「ハイドロキノン」などの処方が可能。のむ日焼け止めも適用外。
「にきび」の治療
<保険適用の条件>
にきびや吹き出物が現在できている場合、にきびそのものの治療は保険適用だが、にきび痕には適用外。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
専用器具で皮脂の詰まりや膿を取り除く「コメド圧出」や、抗生物質、ビタミン剤、漢方薬などの内服薬、抗生物質や毛穴の詰まりを取り除く外用薬の処方が受けられる。
<保険適用外の治療法と費用など>
レーザー治療やフォトフェイシャルなどが有効。目安は1回5000~2万円で、にきび痕にも効果が期待できる。
皮膚科・形成外科
「シミ」の治療
<保険適用の条件>
一般的なシミは保険適用外だが、がんが疑われるシミや、シミのように見えるアザには保険が適用される。鉛筆の芯が刺さって色素沈着した外傷性色素沈着も保険適用。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
トラネキサム酸やビタミンCなどの内服薬、一部のレーザー治療が適用され、レーザー治療は大きさによるが、6000~1万2000円。
<保険適用外の治療法と費用など>
レーザー治療は1回2000~10万円。メラニン産生を抑える内服薬2000円~、ターンオーバーを促す外用薬3000円~などもある。
「イボ」の治療
<保険適用の条件>
ほとんどの場合が保険適用。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
液体窒素による冷凍凝固療法、イボをメスで切除する方法などがある。
<保険適用外の治療法と費用など>
炭酸ガスを使ったCO2レーザー療法で1万~2万円。
「多汗症(脇汗)」の治療
<保険適用の条件>
脇の下に大量の汗をかき、服のシミが気になる場合、保険適用が認められる。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
以前は、塩化アルミニウム剤の外用薬が主流だったが、2020年からは外用の抗コリン薬が保険適用となっている。費用は2週間分が約1000~1500円。重度の場合はボトックス治療も可。
<保険適用外の治療法と費用など>
軽~中程度の多汗症の場合のボトックス治療は保険適用外。両脇を自費で行った場合は約8万円。
「巻き爪・陥入爪(かんにゅうそう)」の治療
<保険適用の条件>
爪の先端が内側に巻き込んだ状態の巻き爪、皮膚に食い込んで痛みがある陥入爪の治療は保険適用。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
食い込んだ爪を取り除く処置、内服薬や外用薬の処方、診察時のセルフケアの指導などは保険適用。フェノール法という手術も保険適用。一般的に1か所につき、1万円ほどかかる。
<保険適用外の治療法と費用など>
症状のない巻き爪の手術は保険適用外。ワイヤー法、クリップ法などがあり、1か所につき、5000~1万円が目安。
耳鼻科
「耳垢栓塞(じこうせんそく)症(耳あか)」の治療
<保険適用の条件>
耳がふさがっている感じがしたり、耳あかが気になる場合は保険で耳掃除が可。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
耳の中専用のファイバースコープで確認しながら、専用の器具(耳垢鉗子や吸引管など)を使って耳垢を除去する。費用は約1000~1500円。
<保険適用外の治療法と費用など>
エステサロンなどで耳かき、耳掃除のメニューがあるところがあるが、こちらは医療とは異なる。自分で行う場合の頻度は、1か月に1~2回程度で充分。
眼科
「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」の治療
<保険適用の条件>
治療は保険適用。目のピクピクが徐々にひどくなり、両目に起きたり、顔に広がる場合は要注意。
<治療法と治療期間&費用(3割負担)の目安>
眼精疲労などが原因の場合は、目薬を処方。眼瞼痙攣の場合は、ボトックス治療が保険適用となり、片目で約1万7000円。
<保険適用外の治療法と費用など>
疲労が原因の「眼瞼ミオキミア」の場合は、目を休めて温めるセルフケアでOK。
取材・文/山下和恵 イラスト/きくちりえ(Softdesign)、イラストAC
女性セブン2024年2月22日号
https://josei7.com/
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