乾燥する冬は「口呼吸」に要注意!のどのイガイガや痛みに負けない7つのケア方法を専門家が解説
今年1月の東京では最小湿度18%(※)を記録。2月の湿度はわずか10%台のことも。砂漠の平均湿度は20~25%程度のため、冬の東京は砂漠より乾燥している日があるということに…。室内ではエアコンを活用するこの時期、私たちは、どこにいても乾燥した環境下に晒されているのだ。そんなとき、直接“攻撃”を受けるのは、空気の通り道である“のど”。風邪でもないのに調子が悪いというあなた、それは乾燥のせいかもしれません。いますぐできるケア方法を専門家に聞いた。
(※)2024年1月25日に記録(気象庁調べ)。
教えてくれた人
楠山敏行さん/東京ボイスクリニック品川耳鼻咽喉科院長。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、前国際医療福祉大学東京ボイスセンター副所長。国立音楽大学音楽学部で講師として“声の科学”の教鞭を執るのどと声の専門家。
乾燥した環境下での「口呼吸」はやめて!
日本はいま、年々乾燥してきている。気象庁によると、東京の年間平均湿度は、1876年が78%だったのに対し、2023年には68%まで下がっている。
特に1年のうち、もっとも空気が乾燥する12~2月は、意識的にケアをしないと、乾燥が原因で体調を崩すことも。ではなぜ、乾燥が不調をもたらすのか。
「空気の通り道であるのどの粘膜には、呼吸時などに入ってくる異物を排除する防御機能が備わっています。しかし、乾いた空気を吸うことで粘膜が乾燥すると防御機能が低下し、粘膜や周囲の組織に炎症が起きます。これが痛みや腫れなどの原因となって、悪化すれば高熱が出たり、副鼻腔炎や気管支ぜんそくなどにつながる可能性もあります」
とは東京ボイスクリニック品川耳鼻咽喉科院長の楠山敏行さんだ。のど粘膜の乾燥予防としてまず気をつけたいのが、呼吸法だ。
「本来、鼻から吸う鼻呼吸が正しい方法。これなら、空気中の異物は鼻の粘液や鼻毛がブロック。ろ過された空気が鼻腔内で温められ、湿度を含んだ状態になってのどを通ります。口呼吸では、異物を含んだ空気が直接のどを通るので、口腔内やのど粘膜が乾燥します」(楠山さん・以下同)
口腔内が乾燥すると唾液の分泌量が減り、虫歯や口臭の原因にもなるという。日頃から鼻呼吸を意識し、習慣づけることが大切だ。
なぜ口呼吸ではダメなのか
【口呼吸】冷たい空気と異物が体内へ
【鼻呼吸】湿った暖かい空気が体内へ
あなたは大丈夫?口呼吸チェック
□朝起きるとのどが痛い
□唇がいつも乾燥している
□口臭が気になる
□風邪をひきやすい
□発音が不明瞭になりがち
□歯並びが悪い
□無意識のうちに口が開く
□口内炎ができやすい
※3個以上当てはまる人は口呼吸をしているかも!
のどの不調を改善するには睡眠とリラックスが大切!
のどの不調のうち、痛み以外に声が出しづらい、かすれるといったケースがあるが、こういうときは声帯が乾燥している可能性がある。乾いた外気はのどの奥にある声帯に直接当たらないが、声帯を覆う粘膜は、加齢やストレスなどの影響で乾燥するのだという。
「声帯はのど仏の中に2枚あり、息を吸うと声帯が開きます。声を出すときは声帯が閉じ、吐く息の力で声帯が振動し、音になります。声帯の外側は粘膜で覆われていますが、粘液の分泌量が減ると声帯が乾き、硬くなってなめらかに振動できなくなります。その結果、声がかすれたり出しづらくなったりするのです」
こういった“声枯れ”を防ぐには声帯を潤す必要がある。水分を摂って体全体を潤すことも必要だが、こんな方法もあるという。
「粘液分泌機能は自律神経機能と関係していて、副交感神経が優位になると分泌が促進されます」
副交感神経はリラックスしたときに優位になるため、ストレスを解消し、しっかり睡眠をとることが大切なのだという。