「認知症の疑いあり」で 銀行口座からお金が引き出せない!【役立ち記事再配信】
家族がボケた時、うっかり銀行に相談すると面倒なことになる。愛知県在住の52才主婦・小島さんの話。
「3年前、78才の母がくも膜下出血で倒れました。幸い命はとりとめましたが、手足に麻痺が残り、退院後、徐々に言葉もうまく話せなくなっていきました。再度受診すると、診断は『脳血管性認知症』。治療費や介護など、今後のことで頭が真っ白になりました。すぐにお金が必要になると思い、母の預金からお金を引き出そうとしたのですが、これまで母の預金を管理したことがなく、暗証番号も通帳のありかも知らないことに、この時初めて気づいたのです。事情を説明すれば何とかなると思い、すぐに銀行に相談しました。でもこれがいけなかったんです…。『たとえご家族でも、成年後見人を立てて頂くまでは、お母さまのお金は引き出せません』の一点張りで、どうにもなりませんでした」
→認知症が疑われ「銀行口座が凍結」すると本人も子供も引き出せない
認知症発症後は、本人でもお金を引き出せない
認知症の事実を銀行が知ると、その口座は凍結されることもあり、財産は“塩漬け”になる。認知症発症後では、家族や本人でもお金を引き出せなくなり、本人名義の不動産の売買や保険の解約返戻金も受け取れなくなるという。
厚労省の推計によると、’25年の認知症の患者数は約700万人。現在の500万人から大幅に増加し、高齢者の5人に1人が認知症になる計算だ。認知症患者の保有する金融資産額も、’15年の127兆円から’30年には215兆円に達する見込み(下記グラフ参照)である。
「大認知症時代」の到来で、今後は誰にでもこうした事態が降りかかる可能性は高い。どう対策を打てばよいか。介護問題に詳しい弁護士の外岡さんが話す。
→成年後見制度の手続き|認知症になってからでは手遅れ!ボケる前にやるべきこと
銀行で「任意代理」、公証役場で「財産管理委任契約」の手続きをする
「判断能力がはっきりしているうちに、銀行で『任意代理』の手続きをしておくことです。任意代理とは、妻や子供などが本人の『代理人』となり、本人が認知症になっても、代理人の判断で口座からお金を引き出したり、本人名義の株式を売却したりできます」
手続きは簡単。金融機関所定の書類に、本人と代理人の住所や氏名、代理人が持つ権限の範囲を記入し押印するだけ。また、公証役場で「財産管理委任契約」を結んでおくことも有効。
「『財産管理委任契約』とは、本人に判断能力はあるが、病気などで体の自由がきかない場合、銀行や行政機関での手続きや生活費の支払いなどを委任できる契約のこと。離れて暮らす両親の財産管理にも有効です。任意後見制度とセットで契約しておけば、本人の判断能力が低下する前は財産管理委任契約で、判断能力が低下した後は任意後見契約と、切れ目なく親や夫の財産を管理できます」(外岡さん)
※女性セブン3月21日号