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暮らし

「持ち家、義務感、季節の行事を捨てた」70代女性が教えてくれる心が豊かになる暮らし方

 エッセイストの小笠原洋子さんは著書の『ケチじょうずは捨てじょうず』で暮らしの中の無駄をなくしながら快適に生活する方法を紹介して話題になっています。そこで、ストレスがたまらない「捨てるコツ」を小笠原さんに教えてもらいました。還暦後は「身の丈に合った暮らし方」で節約上手に過ごしてみませんか?

教えてくれた人

エッセイスト 小笠原洋子さん(74才)

画廊や美術館で学芸員として勤務し、美術キュレーター、エッセイストとして活躍。著書に『ケチじょうずは捨てじょうず』(ビジネス社)。

持ち家、そして風習的な季節行事も捨てた

 東京郊外にある2LDKの団地にひとりで暮らす、エッセイストの小笠原洋子さん。清潔感のある広々とした室内には、たんすや食器棚、ダイニングテーブルといった大きな家具や炊飯器などの家電もない。

「昔はそれなりに大きな家具を持っていたのですが、処分しました。ひとり暮らしですから、大きなテーブルは必要ありませんし、食器も自分が使う分だけなのでシンク下の収納に収まります。いまのテーブルは、2台のスツールの上に板を渡し、クロスをかけたもの。小さいから邪魔にならず気に入っています。お米は、電子レンジ用の炊飯ポットで炊いているので炊飯器も不要。ついでにまな板も、菓子の箱などを開いて洗ったものを使っています。これなら、調理後、そのまま処分できて便利です。洋服も、制服のようにパターンを決めて着ているので、少なくて済みます。だから、大きなたんすも不要になりました」(小笠原さん・以下同)

 そもそも持ち家も“捨てた”という。草むしりや管理組合などの人間関係が苦手なうえ、固定資産税や修繕積立費、管理費も負担になったからだという。

 なにせ思い切りがいいのだ。そんな小笠原さんがものを捨て始めたのは50代の頃からだという。

「正規雇用で勤めていた頃は、服やバッグもそれなりに持ち、人づきあいもしていました。でも退職し、人生の残り時間が見えてきて、これからは思いのまま、理想に沿った生き方をしたいと思うようになったんです」

 その理想とは、禅宗の僧侶のような生活。余計なものを持たず、過去を振り返らず、未来を不安に思わず、いまを生きること―そこからものを減らしていく日々が始まった。

「まず捨てたのは、“義務感”です。年末には大掃除をしなければならない、正月を祝わなければならない、お盆にはお墓参りに行かなければならない…。そういった風習的に行う季節行事はすべてやめました。いまやお正月も私にはいつもの毎日と変わりません。墓参りや冠婚葬祭も、わざわざ出向かなくても心が通っていればいいと思っています。人づきあいも、すすんでつきあいたいと思えない人とはつきあいません」

ものがないからこそ心が豊かになれる

 小笠原さんの暮らしには、私たちがつい考えてしまいがちな、“これがないから不幸”といった悲壮感がない。

「ものは減らしましたが、いまの私に必要なものはほとんどありますから、満たされているんです。洋服は若い頃に買ったり、母が残してくれたものを大切にとってあり、ブローチやコサージュでアレンジすれば、いくらでもおしゃれを楽しめます。あるものを工夫して使いこなすのは、アイディアを磨くことになります。古い着物をスカートにしたり、ウールの着物をバッグにリメークしたりもしていますが、それ自体が楽しいし、思い通りのものができれば、新しいものを買う以上の喜びを味わえます。最近は旅行にも行きませんが、行く必要がないんですよね。自宅の周りは緑が豊かですから、散策のたびに季節の移ろいを感じ、ゆったりとした気分になれますから」

 “買う習慣”を捨て、あるもので工夫して賄(なかな)う。そういう生活だからこそ、心豊かになれるのかもしれない。

小笠原洋子さんの捨てたものリスト

□ 義務感

□ 人づきあい

□ 世間並みのおしゃれ

□ 墓参り 

□ 季節の行事

□ 旅行

□ 炊飯器

□ 化粧

□ 大きな家具(たんす、テーブル、食器棚)

□ 持ち家 

□ まな板

□ マット類 

□ 固定電話

□ 会社に属して働くこと

□ 近所づきあいと自治体組織への参加

□ 冠婚葬祭の出席

取材・文/前川亜紀 撮影/菅井淳子

※女性セブン2023年10月26日号
https://josei7.com/

●60才から「女性のおひとりさま暮らし」を楽しむための7つのルール

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