乳がん早期発見は「触るより観察」推奨へ 最新の検診&セルフケアのポイントを専門医が伝授
乳がんの罹患率は年々増加しているが、ステージ0期・Ⅰ期の早期であれば93.4%が10年生存を期待できるようになったという。自治体の乳がん検診に加えて、乳房を意識した生活習慣を身につけることが早期発見には大切。その具体的な方法を紹介する。
教えてくれた人
坂東裕子さん / 日本乳癌学会専門医
日本外科学会専門医。筑波大学医学医療系 乳腺内分泌外科学分野 准教授・病院教授。都立駒込病院外科医員を勤めた後、2005年筑波大学医学医療系講師を経て、2012年より現職。
乳がん早期発見のカギ「検診」の最新常識
乳がんは早期発見・早期治療が重要だが、早期の乳がんは自覚症状がないことが多い。だからこそ、医療機関での検診が重要だ。
「国の指針によると、乳がん検診は40才以上の女性であれば、2年に1回、問診と乳房X線検査(マンモグラフィー)が受けられます」(日本乳癌学会専門医・坂東裕子さん・以下同)
マンモグラフィーは、乳房を板で圧迫し、伸ばした状態で撮影する。早期がんのサイン・石灰化や乳腺の全体像をとらえやすいが、痛みを伴う。
乳がんの検査にはもうひとつ、超音波を用いて体内の病変を調べる「エコー検査」もある。これは痛みがないのだが、検診での有効性が確認されていない。せっかく検診をするならマンモグラフィーを受けた方が確実だ。
自宅でのケアは「触るより観察する」推奨へ
とはいえ、マンモグラフィー検査さえすれば大丈夫、というわけでもない。自宅でのケアも併せて行うことが重要だ。
これまでは自己触診が推奨されてきたが、最近では、触るより観察する「ブレスト・アウェアネス」が推奨されているという。
「実は、触診で乳がんを探すのは専門医でも難しいんです。素人では、触ることに集中し、ほかに見るべき部分を見損なったりして、逆に発見が遅れる場合があることがわかってきました。そこでいまは、“観察する習慣をつける”ことを推奨しています」
これなら触診のように、特別な技は必要ない。乳房をよく見て、変化に気をつければいいので続けやすい。裸になったタイミングで毎日少しだけ、バストを気遣う。それが早期発見につながるのだ。