主菜メニューも増えてきたペースト食!上手に使って栄養バランスアップ
加齢によって食が細くなったり、飲み込む力や噛む力が弱くなってくると、食べられるものの種類が少なくなってくる。その結果、栄養が偏ったり、栄養素が不足し、健康状態が悪くなってしまうという。肉や繊維の多い野菜が食べにくくなるなど、楽しかったはずの食事が苦痛な時間になってしまったという声も聞く。
低栄養状態が続くと介護度にも悪影響が
「サルコペニア」という言葉を聞いたことがあるだろうか?加齢に伴う筋力、筋肉量の減少を指し、その原因の一つとして、栄養が十分に摂れていないことがあると言われている。筋力が低下することで活動量が減ってしまうと、食欲不振になり、そしてまた栄養不良になるという悪循環が始まってしまうという。
2012年に国立長寿医療研究センターが在宅療養患者の高齢者を対象に行った調査によると、「低栄養」状態の人が37.4%という結果が出ている。「低栄養のおそれあり」の人も加えると全体の約70%にも達する。低栄養状態は介護度が進むことにもつながる可能性があるので、十分に注意したい。
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市販の介護食を上手に利用して栄養バランスアップ
とは言うものの、自分自身や家族のために毎日きざみ食やペースト食を作ることは骨が折れるのも事実。家族の介護食作りで疲弊してしまったという話も聞く。また、一人暮らしで自分のことだけとなると、調理の簡単なものや好きなものに偏って、低栄養に陥りがち。そこで、うまく利用したいのが市販されているレトルト食品だ。
主菜をペーストにした商品はまだまだ少ないが、少しずつメニューの種類も増えてきているので、好みに合うものを見つけたい。
ハウス食品は、「やさしくラクケア とろとろ煮込み」<ハンバーグ味>を2月11日から発売。これは「やさしくラクケア とろとろ煮込み」の新しい味だ。今回のハンバーグ味の登場に合わせて、従来からあったビーフカレー味やクリームシチュー味、肉じゃが味、すき焼き味も改良されたとのことなので試してみたい。
“おいしさ”と“食べやすさ”の両立を目指したという今回の新商品。開発担当者に話を聞いてみた。
「食事の際にまず食べ物を認識し、口腔内に入れて咀嚼し、食道に送り込むという一連の動作の中で、人は香り・味覚・舌触り・歯ごたえなど、全てでおいしさを感じています。介護食では特に咀嚼し味わうことが困難な方でも、いかに咀嚼した時に味わえる味覚・香りを食べやすいペースト状態で再現するか、という味作りに一番苦労をしました。味へのご評価だけでなく、備蓄にもちょうどいいという声を頂いています」
開発にあたっては、介護関連のセミナーに参加をして情報収集をしたり、学会や展示会等で介護職の人に話を聞き、実際に高齢者施設にも足を運んでいるという。今後はさらに新しいメニューの開発も検討していくということなので期待したい。
農林水産省は介護食品と呼ばれてきたものを新たな視点で捉え直し、2014年11月に「スマイルケア食」という愛称で呼ぶことを発表した。噛むこと、飲み込むことが難しい人のための食品という観点だけではなく、低栄養の予防につながる食品、生活をより快適にする食品という広い領域で捉えていくという。自分自身や家族の食べる力を把握し、毎日の負担を減らすためにも市販品を上手に利用して、栄養をしっかりと摂るようにしたい。