死ぬ間際まで元気でいたい!ホルモンを制する者が老化を制する「若返りホルモン・DHEA」の最新データと増やす方法
老化を遅らせ、あらゆる病気から体を守るため、DHEAの分泌量を増やすにはどうしたらいいのか。
「まずは食生活です。細胞の糖化や酸化を防ぐには、糖質の摂取を控える必要があります。といっても、糖は体を動かすエネルギーのもとですし、白米が好きな人に対して白米を禁じたら、それがストレスになってかえって酸化がすすむ恐れがあります。量を減らしたくないのであれば、白米を玄米に変えるのもおすすめです。1日の食事は、炭水化物は6割程度に抑え、2割をたんぱく質に、さらに2割を脂肪とするくらいがちょうどいいでしょう」
食べる時間帯や組み合わせ、食べる順番も大事なポイントだという。
「基本的なことですが、朝食は抜かず、深夜には食べない。朝食は、糖質だけでなくたんぱく質と一緒に摂ることで血糖値の上昇を抑えられることがわかっています。私の研究室で行った実験で、『白米のみ』『コンビニの弁当』『牛丼』をそれぞれ朝食に食べ、昼食は全員白米のみとした場合、昼食後の血糖値がもっとも上がりにくかったのが朝食に牛丼を食べたグループでした。血糖値が上がると体内にアルデヒドが発生して体内の大切なたんぱく質を糖化させてしまうので、コントロールすることは非常に大切です。そして、食べるときにはベジファースト。主食や肉・魚ではなく野菜から食べる習慣をつけることで、過度な糖化を防ぐことができます」
ベジファーストの実践には、コース料理をイメージするといいという。
「会席料理やフランス料理のフルコースは、食物繊維を多く含む野菜や海藻を使った食事から始まり、肉や魚、そして、炭水化物といった順に提供されます。家でもそうした順序を意識してください」
かつては食べすぎない方がいいとされてきたものも、若返りホルモンの源になる。
「“卵の食べすぎはコレステロール過多になって体に悪い”というのは、もはや古い常識。むしろ、DHEAの材料となるたんぱく質を多く含む卵は、積極的に摂りたい食品のひとつです」
筋肉量が多い人は「DHEA」も多い
運動で筋肉を増やすことも重要なポイントとなる。
「筋肉量が多い人は必ずと言っていいほど、DHEAも多いのです。私の患者さんで普段まったく運動をしない40才の女性を集めて、フィットネスクラブでの運動を1回40分×週3回、これを2か月続けてもらいました。その結果、DHEAの量が平均で15~20%もアップしたのです。ジョギングやウオーキングなど種類は関係なく、継続することが重要です。最低でも週に2回は運動するようにしてください」
そして、睡眠は充分な長さだけでなく質もしっかりと意識する。
「質のよい睡眠は、DHEAの分泌を適正にコントロールします。寝る1時間前には、テレビやスマホを見ないといった工夫も必要でしょう。液晶の光に含まれるブルーライトは、本来は夜になると分泌されるホルモンを抑制してしまい、寝付きにくくなったり眠りが浅くなってしまったりするからです。睡眠時間が短いと食欲を抑えるホルモンが減り、糖質の過剰摂取につながることが指摘されています」
ホルモン年齢をセルフチェックしてみよう
日頃の小さな努力の積み重ねや食生活を整えることが、長く健康に暮らせる老けない体を手に入れることにつながる。それは理想的な姿だが、いくら頑張ってもその効果が実感できないと、ついつい努力も怠りがちに。ホルモンを増やすために生活習慣を改善しても、本当に増えたかどうかはなかなか実感しにくい。
「ホルモン分泌量を正確に把握したければ、専門医のところでアンチエイジングドックを受診するしかありません。これは現代医療の大きな課題です」
しかし、簡易的であれば、日常生活の癖や好みをもとに「ホルモン年齢」のセルフチェックも可能だ。以下のリストを参考にしてほしい。
あなたの「老化度」をセルフチェック!
□ 立ち上がるときに、つい「よいしょ」と声が出る
□ 歩いて15分以上の距離のところへはバスやタクシーを使う
□ 会議などで1時間以上同じ姿勢でいることが体力的につらい
□ いつも時間に追われているような気がする
□ こってりした肉料理が好きだ
□ ときどき手足の先がしびれることがある
□ 趣味にすぐ飽きて熱中できなくなった
□ 熟睡したと感じることが少なくなってきた
□ 便が細めだ
□ 旅行は嫌いだ
□ 魚料理よりも肉料理の方が好きだ
□ 日中、外へ出る機会があまりない
どれかひとつでも当てはまる人は実年齢よりも体の機能年齢が高い可能性が! 詳しい「血管年齢」「筋肉年齢」「骨年齢」「神経年齢」「ホルモン年齢」を知りたい人は、「Dr.米井の アンチエイジング・セルフチェック」を確認してみよう。
DHEAは自由診療で投与も
生活習慣を改めてもDHEAの量が増えず、老化が進む一方なら、DHEAを投与することも選択肢に入ってくる。
「内服薬として医師が処方します。厚労省はDHEAを医薬品として認可していますが、日本の製薬会社は開発および販売をしていません。そこで抗加齢医学会所属の医師たちは海外から安全なDHEAを輸入し、患者さんに提供しています。一般的に20~30代では必要ありませんが、更年期の症状に悩んでいるとか、骨粗しょう症でたんぱく質を効果的に吸収する必要があるといった場合には、検討してもいいと思います。DHEAは不妊症改善の効果も期待されており、最近では、不妊治療を受けている人への投与も目立つようになりました」
自由診療のため保険適用外だが、料金は月額で4000~5000円から1万円程度が中心。クリニックによって開きがある。
「効果を実感してくれる人は多いですね。髪が増えた、肌に潤いが戻った、という声が私の元にも寄せられています。数値でも明らかで、DHEAを投与した58才の女性は、2年後に血管年齢が6才若返り、エストロゲンは1.8倍に増えました。だるさが軽減されるなど、老化症状の改善も見られたそうです」
いつまでも若く健康で―いま現在はもちろん、未来の自分のためにも若返りホルモンと上手につきあいたい。