いい病院や医師を見極める5つの条件、信頼できる高齢者施設を探す6つのポイントを介護のプロが指南!
2023年1月〜6月の出生数が37万1052人と過去最少となり、少子高齢化に歯止めがかからない。介護サービスを利用する高齢者は年々増加傾向にあり、厚生労働省の介護給付費等実態統計によれば2021年度の受給者(利用者)は638万1700人にのぼる。誰にでも起こり得る親の介護は自分ひとりで抱え込まないことが大切だ。家族全員で幸せな最後を迎えるために、信頼できる医療機関・高齢者施設の探し方を紹介する。
教えてくれた人
野原広子さん/女性セブンライター、川内潤さん/NPO法人「となりのかいご」代表理事、荘司輝昭さん/立川在宅ケアクリニック院長、安藤滉邦さん/ケアプロデュース代表、安藤なつさん/お笑いコンビ・メイプル超合金
大切な家族の体を預ける”伴走者”の選び方
「民間サービスから幼なじみまでいろいろな人に頼らせてもらったけれど、介護の根幹にいたのはやっぱりケアマネジャーさん」(オバ記者こと野原広子さん・以下同)
ベテランで辣腕、かつ相性のいい人に“伴走”してもらえたことを、この上ない幸運として振り返るオバ記者は、「ケアマネジャーを味方につけられるかどうかが明暗を分ける面は大きい」と話す。
「訪問入浴をはじめとしたサービスについてはもちろん、母の命が尽きる時期も見据えて、私の心づもりができるようにさりげなく、かつ、わかるように教えてくれたのはありがたかった。行政サービスをはじめとして、介護生活のキーマンになってくれるのがケアマネジャーだけど、人によって仕事に対する意識は違う。人間だから相性もあり、不都合があったら遠慮なく替わってもらった方がいい」
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オバ記者は出会いに恵まれたが、当然、そうでない場合もあるだろう。
「交代してもらいたい場合もやはり地域包括支援センターに相談するのがいい。その際は、きちんと理由も伝えましょう。実は家族の誤解だったり、単にコミュニケーション不足だったりすることも多々あるためです」(NPO法人「となりのかいご」代表理事・川内潤さん)
ケアマネジャーと同様、明暗を分けるのが医療機関とのつきあい方。立川在宅ケアクリニック院長の荘司輝昭さんが言う。
「最期を任せられる医師を探すのも重要。『在宅』とうたいながら、在宅医療の診療加算点ほしさに薬だけを処方するようなずさんな診療をするクリニックや、“電話1本で24時間駆け付けます”としながらも肝心なときに連絡がつかず『万が一のときは救急車を呼んでください』という志の低い在宅医も実はたくさんいるのです」(荘司さん・以下同)
苦しむ様子に家族がうろたえて救急車を呼んでしまうと病院で延命治療が施され、自宅で最期を迎えることができなくなってしまう。
「医師や看護師、介護士だけでなく家族も含めたチームを作ることが非常に重要です。多職種とつながったチームがあれば、SOSを出す先も増える。情報共有もできるからプロ同士の連携もでき、家族もチームの一員として当事者を支える意識が芽生える。それがあってこそ、サービスや制度をうまく利用できる好循環が生まれると思います」
では、チームのリーダー足り得るいい在宅医とは、どうすれば出会えるのだろうか。
「ひとつの方法はその地域の訪問看護師を訪ねること。地元に根付いているため、医師の評判や情報も集まってきやすい。あるいは、かかりつけ医との関係が良好であるのならばかかりつけ医に相談すると、いい在宅医を紹介してもらえることが多いです」