痛いマッサージは逆効果!薬いらずの“肩こり”解消法「食品を使った温活」「全身脱力法」【専門家解説】
人類の命題である痛みからの解放。実際、世界の中には鎮痛剤が「通貨」として流通していた地域もあるが、のんで治まった痛みは決して消えるわけではない。無意識のうちに体に蓄積され悪い影響を及ぼすことも。薬をのまずに体の痛みを取る方法を専門家に聞いた。
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お風呂と食べ物で体を温めて肩こりを解消!
診察室で患者と向き合い、症状をカルテにまとめる―現役の呼吸器内科医として働く朝倉医師会病院の佐藤留美さんはデスクワークが多く、痛みの中で肩こりはいちばんの大敵だという。
「予防のために意識しているのは、とにかく“冷やさない”こと。肩こりに限らずすべての痛みに共通していえることですが、寒さは痛みを呼びやすい。アイスクリームやかき氷を食べると頭がキーンと痛むのと同じ理屈で、慢性的な肩こりは血行不良が原因であることが非常に多いです。習慣にしているのは入浴時、
【1】ぬるめのお風呂に肩までしっかりつかること。
【2】軽い有酸素運動や
【3】20~30分のウオーキングで基礎代謝を上げるのも有効です。
【4】使い捨てカイロを肩に貼ること
でも血行不良は解消されますが、高齢者は低温やけどの危険性もあるため注意してください」
佐藤さんが推奨するのは体を温める作用を持つ食品を使った“温活”だ。
「自然由来の温かさは体に負担をかけません。肩こりの痛みの原因は血管の収縮であるため、
【5】しょうがなど血管を広げる食べ物をすりおろしてガーゼなどに包み、患部に当てるのは有用です。
ただし、貼るよりも直接、口の中から取り入れて体の中から温める方が効率がいい。肩だけではなく全身に効果があり、頭痛や腰痛などの軽減にもつながります。しょうがのほか、
【6】とうがらしや
【7】ねぎなどにも温熱作用があり、おすすめです」
体の中からのアプローチを心がけてほしい。
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現代人の多くが抱える「肩こり」の悩み
肩こりが悩みの種なのはデスクワーカーだけではない。
「ストレスや緊張感による筋肉の収縮も大きな一因であるため、現代人はもれなく肩こりリスクにさらされていると言っていいでしょう。実際、みなさん知らず知らずのうちに体に力が入っており、うまく脱力できなければ肩こりは悪化します。翻っていえば体の力を抜く方法を知るだけで痛みはかなり緩和されるのです」(いいだ整骨院院長の原幸夫さん・以下同)
実際に原さんが提唱する
【8】全身脱力法
の感覚を学んだことで、多くの患者が肩こりから解放されたという。
「仰向けに寝て片脚を上げて深く息を吸い、止めます。5秒ほどこの状態を維持した後、息を吐くと同時に脚の力をいっぺんに抜きます。すると上げていた脚が落下します。このとき、全身の力も同時に抜き、自由落下させるのがポイントです。脚が落ちたら、5秒ほど力が抜けた体の感じを味わいましょう。この感覚が大切です。脚を替え、片脚と両腕を上げてもやってみてください。繰り返し行うことで、普段いかに無意識のうちに体に力をこめていたかが体感できると思います」