「肌のシミ」はなぜ増える?レーザー治療やシミ対策コスメの最新事情を医師が解説
マスクを外す機会が増えて、顔のシミの増加や広がりが気になっていませんか? レーザー治療やスキンケア製品の使い方によっては、シミに逆効果になることも。シミが増える原因を知って、これ以上増やさないないための対策を!
血管の異常な増殖がシミを増やす
「コロナの渦中は、“いまのうちに、マスクで隠れている部分のシミを取ってしまいたい”という人が多かったのですが、今年に入ってマスク自由化に向け、さらにケアする人が増えました」(今泉スキンクリニック 美容皮膚科医・角田麻衣子さん)
医師によるレーザー治療やメラニン色素の合成を阻止する処方薬を適切に塗布することは、シミの改善に有効で、市販のシミ対策のサプリメントやスキンケア製品にも一定の効果は期待できると、角田さんは言う。
しかし、レーザーなどの施術を受けても、元に戻ってしまったり、再び濃くなる・増えたりすると感じている人も。一体、なぜシミは再発するのだろうか?
「紫外線はもちろん、レーザー治療やスキンケア製品の間違った使い方などで肌が刺激を受けると、肌内部で血管の新生が促進されることがあります。その結果、シミの原因となるメラニン産生を活性化させる物質が放出されやすくなり、シミが作られてしまいます」(皮膚科医・日比野佐和子さん・以下同)
これは、資生堂のシミ予防研究で2020年に新たに発見されたメカニズムだ。肌が紫外線や摩擦などの刺激によってダメージを受けると、真皮にある毛細血管を構成する細胞から「ウロキナーゼ」という酵素が分泌される。この酵素が「VEGF-A」という糖たんぱくの一種と協調し、血管の新生が促進される。
さらに、このウロキナーゼの活性が高まると、メラノサイトに存在する「チロシナーゼ」という酵素の活性も高まり、メラニンを増やしてしまうのだ。
◆血管の異常増殖とシミが増えるメカニズム
真皮に血管が異常に増えると、ウロキナーゼの分泌も増えるという。
「レーザー治療では、皮膚にレーザーを照射してかさぶたにし、それがはがれることでシミを薄くします。これは、皮膚に傷をつけることでもあり、皮膚を修復する過程で新しい血管が生まれます。紫外線によりシミが増える原因の1つが、異常な血管増殖といえます。紫外線を浴びることも軽度のやけどのようなものなので、肌を修復するために血管が新しく作られてしまうのです」
血管には、血液を通じて酸素や栄養を細胞に届ける大切な役割があるが、活性酸素の影響を受けると酸化が進んだところや栄養が不足しているところをめがけて、血管が伸びていく習性がある。血管が増えた分だけウロキナーゼ酵素の分泌量が増えてメラニンも増えるため、シミができるリスクも高まるのだ。
このような異常な血管の増殖を防ぐ成分としてオトギリ草抽出液が注目されている。市販のシミケア製品にも使用されており、血管の異常増殖を抑制する効果が期待できる。
取材・文/山下和恵 イラスト/上田惣子
※女性セブン2023年6月15日号
https://josei7.com/
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