「血糖値スパイク」(食後高血糖)は糖尿病の“始まりのサイン”? 日本人の5人に1人がなる国民病を防ぐには【糖尿病専門医監修】
「糖尿病の治療には実はタイムリミットがあります。食事や運動療法だけで血糖値が改善されるのは最初だけで、血糖値が高いまま放っておくと、薬が効きにくくなり、最終的には私のようにインスリン注射を使うことになります。血糖値スパイクは糖尿病の“始まりのサイン” なので、早めに食事や生活を見直すことが本当に重要なんです」
血糖値スパイクを起こしやすい人の特徴は、下記のチェックリストを参照して欲しい。ほかにも、食後に頭がぼーっとしたり、強い眠気が襲ってきたり、夕方、急に眠くなったり、何か食べ物を口に入れないと落ち着かなかったりするような人は医師に相談を。
【チェックリスト】血糖値スパイクを起こしやすいのはこんな人
□親族(祖父母、両親、兄弟姉妹)に糖尿病の人がいる
□食べるのが早い
□野菜がきらい
□朝食を食べない
□お腹いっぱいになるまで食べる
□肥満である
□運動不足
□睡眠不足
8問中3つ以上当てはまる人は要注意。血糖値スパイクによる急激な血糖値の変動は、血管を傷つけたり、インスリンを大量に放出させたりと、体へのダメージが大きい。いますぐ生活習慣を見直そう。
糖尿病の怖さは合併症。がんリスクも健康な人の約2倍に
では、糖尿病になると、どんなことが起こるのか。
血液中の糖の量が多い(血糖値が高い)状態が続くと血管が傷つき、最終的には臓器や目、皮膚の組織に栄養が届かなくなり、さまざまなトラブルが起きる。
「はじめに症状が出るのが、細い血管が集中する目、腎臓、神経系です。急に視力が悪くなったり、足がむくんだりする人もいます。さらに糖尿病が進行すると、太い動脈にも影響が及び、脳梗塞、脳出血などの脳血管疾患、心筋梗塞や狭心症などの虚血性疾患のリスクが高まります」
それだけではない。糖尿病はさまざまな病気のリスクを上げる。
「糖尿病患者はがんリスクが健康な人の約2倍とされています。インスリンの効きが悪くなると、インスリンの分泌量が増えるのですが、血中の過剰なインスリンが発がんリスクを高めるのです。さらに、日本人の糖尿病患者の平均寿命は、健康な人に比べて10年短いとされています。アルツハイマー型認知症になるリスクは約1.5倍、脳血管性認知症は約2.5倍で、歯周病も悪化させます。ですから私も30年以上毎日インスリン注射を欠かさず、血糖値のコントロールを続けています。糖尿病治療は人生を楽しく、前向きにするために行うものだと思っていますから」
糖尿病治療の種類や選択肢は年々広がっており、適切な治療と血糖値を上げない生活習慣を意識すれば、合併症リスクは抑えられるという。