おひとりさまのお墓、最新事情|海洋散骨、女性専用の合同墓も!主な墓の形式【方法や相場】をレポート
終活と聞くと、最初に葬儀や墓について考える人が多いという。おひとりさまの場合は特に、継ぐ人がいないからこそ、後始末をどうすべきか気になるのだろう。ここでは、おひとりさまの葬儀と墓事情をレポートする。
葬儀も墓も簡略化・縮小化している
「少子高齢化で葬儀の参列者が減ったことに加え、コロナ禍で葬儀ができない状態が続いたせいか、葬儀のコンパクト化が加速し、近年は家族のみで行う“家族葬”と、通夜や告別式を行わず、火葬場で簡単なお別れだけをする“直葬”が主流になっています」
と、霊園開発などを手がける阪神総商の代表・田中元気さんは言う。
「葬儀だけでなく、墓にまつわる諸事も簡素化が進んでいます。背景には、親戚や地域社会とのつながりが希薄になったことが挙げられます」(田中さん・以下同)
かつては墓石を建てる一般墓が主流だったが、最近では多くの人の遺骨を一緒に埋める合同墓の需要が増えているという。墓を継ぐ人がいないおひとりさまだけでなく、夫の家の墓に入りたくない妻からの人気が高まっているようだ。
一般墓を持つ家庭でも、コロナ禍で墓参りに行けなくなったことを機に墓石を撤去し、遺骨を自宅近くの霊園の合同墓や納骨堂などに移す“墓じまい”をする人も急増した。
「最近、注目されているのが、女性専用の合同墓です。見知らぬ男性と同じ墓に入りたくないというニーズから生まれました」
一方で、墓すら不要だと、海に遺骨をまく海洋散骨を選ぶ人も増えているという。かつては盛大に行うのをよしとした葬儀も、一般墓一択だった墓も、多くの選択肢のひとつとなった。どんな終わり方をしたいかを選んだら、信頼できる人を探し、死後事務委任契約をするまでやり遂げよう。
近年注目の主な墓5
●合同墓
複数の契約者が合同で使用する墓
一般的な墓は家族・親族で共有するが、合同墓は血縁関係がない人たちで共有する。合祀墓、合葬墓、共同墓、集合墓、供養塔などとも呼ばれている。墓石が必要ないため一般墓より費用が安い。遺族に代わって霊園や寺院が、半永久的に墓の維持管理と年数回の法要を、ほかの人とまとめて行ってくれる。初期費用は10万~30万円程度。
●海洋散骨
著名人が行ったことで注目されるように
火葬した後の遺骨を粉状にし、クルーザーなどで沖まで運び、海に散布する方法。死後は自然に還りたい、墓は必要ないという人に向けたものだったが、2022年に元東京都知事の石原慎太郎さん(享年89)が海洋散骨を行ったことで急激に注目されるようになった。予算の目安は乗り合い船で約10万円、貸し切り船で約30万円。
●樹木葬
墓石の代わりに木を植える
花木の周りに遺骨が埋葬される。多くは永代供養期間の三十三回忌までを石碑の下で過ごす個人墓や夫婦墓(1柱30万~80万円)が選ばれる。期間終了後は合同墓に移葬される。
●一般墓
初期費用が高く後継ぎも必要
家単位で承継する墓。初期費用は土地代と墓石代で数百万円程度。納める遺骨の数に上限はなく、毎年管理費を支払い、半永久的に使用できる。近年はペットと一緒に入れる墓も。
●納骨堂
都心部に多い“墓のマンション”
一棟の中にたくさんの納骨スペースを備えたいわば“墓のマンション”。個人、夫婦といったさまざまな単位で骨壺を収蔵してもらえる。永代供養も可能で、相場は50万~100万円。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2023年5月4日号
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