エンディングノート、記載すべきは「金銭関連と医療の意思表示」と専門家。自分の死生観を見つめる機会に|プリントできる「終末期医療の意思表示書」付き
自分の老後や死後のことについて準備をしておく「終活」に欠かせないのは、エンディングノートだ。エンディングノートの作成の仕方について専門家に聞いた。「50才になったらまず着手すべきなのは、医療に関する意思表示」だという。書き込み式「意思表示書」も合わせてご紹介する。
どう生きるかを明確にして伝える
終活において、エンディングノートを書こうという人は多い。市販のノートもさまざま出ているため、それを踏襲するのも手だが、面倒になってすべて書ききれないのでは意味がない。
エンディングノートで押さえておくべきは、財産の洗い出しや銀行口座・クレジットカード・保険情報、ネットバンクなどインターネット上でのみ取引しているデータの整理と書き出し、といったお金関連について。そして“死生観”についてだ。
「お金関係の情報の整理と伝達も大切ですが、エンディングノートを書くうえで最初にやるべきは、生きている間にどう過ごし、どう死にたいかを明示しておくことです。遺産には法定相続分がありますから、最悪遺言書は書かなくても大丈夫。墓など、自分の死後の決め事に関しては、後回しにしても問題ありません。それよりも、病気になったらどういう治療をしたいのか、どこで暮らしてどう介護をしてもらい、最期をどう迎えたいのか、生き方と死に方、つまりは“死生観”について明確にすることが大切なのです。これこそ、人生の豊かさにつながります」
とは行政書士の黒澤史津乃さんだ。エンディングノートを書くことで、これまで気づかなかった自分の生き方や望みについて気づくきっかけになるのが理想的だという。
「50才になったらすぐなど、いちばん早めに着手しておくべきなのは、『医療に関する意思表示』です。命にかかわる病気になり、身動きが取れなくなったとき、どんな医療を受けたいか、あるいは受けたくないかを決めておきましょう。そうでないと、病院は基本的に延命治療を行いますから、希望通りの最期を迎えられないかもしれません」(黒澤さん・以下同)
病気になったら決断する能力がなくなる可能性が高いので、元気なうちに決めておくことが大切なのだ。
「80ページ上段のエピソードのように“大切なものだからしまっておかないと”と、エンディングノートを貸金庫や自宅の鍵付き引き出しなどにしまい込む人が少なくありません。実行してもらわなければ書いても意味がありませんから、まとめ終わったら“任せられる人”に渡すか、保管場所を伝えておきましょう」
次に紹介する意思表示書は書き込み式だ。記入してエンディングノートの表紙に貼っておくか、いつも持ち歩いている手帳などに貼っておくのがおすすめだ。