「玄米」の栄養とは?炊飯器、圧力鍋、土鍋でふっくらおいしく炊く方法とお手軽レシピ【管理栄養士提案】
糖質制限、炭水化物抜きダイエットなどが注目されて久しいが、いま米食こそ、私たちの体を整えると注目されている。なかでも日本で古くから食されてきた玄米は日本人の体質に合っており、病気を予防し腸活にも効果が。ただ一方で、「パサパサ感や独特の風味が苦手」「炊くのが難しい」という声も。おいしく食べるコツをマスターして、玄米生活を始めてみよう!
※材料の分量は特記がないものは2人分です。
※電子レンジは600Wを使用しています。
玄米の栄養価やおいしく食べるコツを専門家が伝授!
自身もほぼ毎日玄米を食べているという、管理栄養士の植草真奈美さん。
「玄米は食物繊維に加え、ビタミンB群を多く含みます。水溶性のビタミンB群は体に留めておくことができないので毎日摂るのが望ましく、主食としてとりやすい玄米はぴったりです。白米を玄米に替えるだけで栄養がとれて腸活もできてといいことずくめ。玄米をおいしく食べるコツは、炊く前にしっかり浸水させること。朝炊くなら前日の夜、夜炊くなら朝~昼に浸水をはじめるといいでしょう」
■玄米のココがスゴイ!
●食物繊維がたっぷり!超優秀な腸活食材
玄米は食物繊維が豊富で、その量はなんと白米の6倍。特に不溶性食物繊維を多く含む。便の量を増やして腸が便を押し出す「蠕動(ぜんとう)運動」を活発にしてくれ、整腸作用や便秘予防が期待できる。
●低GI食材だから、血糖値の上昇が緩やか
食後の血糖値の上昇度合いを示す「GI値」が白米より低いのも、玄米の大きな特徴。主食を白米から玄米に置き換えるだけで血糖値の上昇がぐっと緩やかになり、脂肪を溜め込みにくくなる。
●免疫力アップに役立つビタミンB6が豊富
玄米には、白米の3.8倍のビタミンB6が含まれている。ビタミンB6には体の免疫機能を維持する作用や、皮膚や粘膜の抵抗力を増進する作用があるため、免疫力をアップさせる効果が期待できる。
●その他の栄養素も豊富!
・ビタミンB1は白米の 5.1倍
・ビタミンB2は白米の 2倍
・鉄は白米の 2.6倍
・マグネシウムは白米の 4.8倍
初心者でも簡単! 玄米の基本の炊き方
炊き方が難しいと言われる玄米。コツさえおさえれば、ふっくらやわらかく炊き上げられる。まずは炊飯器の普通モードでの炊き方をご紹介。
<材料>(3合分)
玄米…3合
水…4 1/2カップ(もしくは使用する炊飯器の目盛りに合わせる)
塩…小さじ4/3(1合につき小さじ1/4が目安)
【1】洗う
ボウルに玄米と水適量(分量外)を入れ、汚れを落とすよう軽くこすりあわせて洗う。水を替えながらこれを2~3回繰り返す。
<ポイント>
表面を傷つけるようにして洗うと水を吸収しやすくなるとも言われているが、強く洗いすぎると胚芽が取れてしまうので注意。
【2】浸水
水を捨てたっぷりの水(分量外)に6~8時間浸水させる。夏場は雑菌の繁殖を防ぐため、こまめに水を替えるか冷蔵庫で浸水を。
<ポイント>
ふっくらと炊き上げるには、玄米をしっかり浸水させて吸水させておくのがカギ。時間があれば8時間ほど浸水させるとよい。
【3】炊く
水を捨てて水気を切り、炊飯釜に入れる。分量の水と塩を加え、普通モードで炊く。炊き上がったら10分蒸らす。
<ポイント>
炊飯時、水は冷水を使い、かつ塩を加えることで吸水率が高まる。塩は、玄米特有の糠や胚芽の臭みも取ってくれる。
【4】混ぜる
炊き上がりの表面をしゃもじで十字に切り、ブロックごとに天地を返すイメージで、釜の底から切るように混ぜる。
<ポイント>
余った玄米ご飯は、白米のご飯と同じようにラップでぴっちりと包んで冷凍室で保存を。使う時は電子レンジで解凍して。
炊飯器・圧力鍋・土鍋を使った玄米の炊き方のコツ
■炊飯器なら「玄米モード」がおすすめ
炊飯器に「玄米モード」がある場合はぜひ活用を。普通モードよりも炊飯時間はかかるが、よりふっくらと炊き上がる。浸水までの工程は上記と同様にし、水の量などは機種によって異なるため、使用する炊飯器の説明書を参照して。
■圧力鍋で炊く場合
圧力鍋に浸水後の玄米、水(1合につき200ml)、塩(1合につき小さじ1/4)を入れてしっかり蓋をし、圧力を高圧に設定して強火で加熱。圧がかかったら弱火で15~20分炊き、火を止めて10分蒸らす。
■土鍋で炊く場合
土鍋に浸水後の玄米、水(1合につき250ml)、塩(1合につき小さじ1/4)を入れ、蓋をして中火で加熱。沸騰したら弱火で20~30分炊き、蒸気が弱くなったら強火で30秒熱して火を止め、10分蒸らす。
玄米いろいろ使い分け
●分づき米
糠や胚芽を残して精米されたもの。精米度合いで3分づき米、5分づき米などがあり、数字が小さいほど玄米に近い。
●発芽玄米
玄米を水に浸けてわずかに発芽させたもの。発芽により酵素が活性化されて栄養価が高まり、浸水時間も短くて済む。
●胚芽米
玄米から糠層を取り除き、胚芽をある程度残したもの。胚芽の栄養は残しつつ、白米に近い食感で食べやすさもある。
●酵素玄米
玄米を小豆などと一緒に炊き、数日保温・熟成させたもの。熟成により栄養価が高まり、もちもちとした食感も特徴。
玄米を炊いたらまず作りたい!お手軽「玄米おにぎり」
コクや風味のある具を入れれば、玄米特有の匂いがやわらぎ食べやすい。握る時はしっかりめに。玄米を炊いたら、おにぎりを作ろう!
●しらすと枝豆のチーズおにぎり
しらすの旨みにチーズのコクがマッチ!
<材料と作り方>
【1】枝豆正味30gはゆでて皮と薄皮を取る。プロセスチーズ20gは1cm角に切る。
【2】ボウルに【1】、玄米ご飯200g、しらす15g、しょうゆ小さじ1、塩少量を入れて混ぜ合わせ、三角に握る。
●梅しそおにぎり
梅&しその香りでさわやかに。
<材料と作り方>
【1】梅干し2個は種を取り、1個は半分に切り、もう1個は細かく叩く。青じそ4枚は1枚を縦半分に切り、残りはせん切りにする。
【2】ボウルに玄米ご飯200g、叩いた梅干し、せん切りにした青じそ、塩少量を入れて混ぜ合わせる。三角に握り、残りの梅干しと青じそを飾る。
教えてくれた人
管理栄養士・フードコーディネーター 植草真奈美さん
テレビ、雑誌、WEBなどでのレシピ開発やコラム執筆、セミナー講師など幅広く活躍。著書に『はじめてでもかんたんにフリージング 安心な離乳食』(春陽堂書店)がある。
撮影/玉井幹郎 取材・文/平井薫子
※女性セブン2023年3月16日号
https://josei7.com/
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