猫が母になつきません 第342話「ききとり」
要介護認定の申請をしました。役場の包括支援センターで相談して申請の申し込み用紙を出し、認定調査の日程もその場で決まりました。認定調査では心身の状況を本人と家族から聞き取るのですが、母には「要介護」というと反発するので「介護保険の健康調査があるから」とあいまいな説明をしておきました。当日、調査員の方が健康面の質問をしているのに母は自分の被害妄想話を始め、自分はこんな酷い目にあったということをどんどん話し続けているのに、調査員の方は「へー」とか「はー」とか適度に合いの手を入れつつ聞いてくださって、ある程度吐き出させたら「大変だったですねー。それではいくつか質問させていただきますねー」とするっと本題に持ち込むのはさすがです。聞き取りが終わると椅子に座ったままで手脚を動かす簡単な身体機能の確認(母は何枚もの座布団を抱えて走れるくらい元気です)。「お茶淹れてきて」と母を台所に行かせて今度は私の聞き取り。母の答えは「食欲はある」ということ以外ほぼ間違っていたのでその訂正と今困っていることなどをお話しました。認定結果は1ヶ月くらいで出るとのこと。申請でもうひとつ必要なのが《主治医意見書》。通院している病院に治療内容や心身の状態を書いてもらいます。これは役場と主治医との直接のやりとりになるので、私は病院に電話をして書いてもらえるかどうかを確認するだけでした。申請から調査までは思いのほか簡単で、あっという間に終わりました。母は自分の話を聞いてもらえてかなり満足げ。調査員は町の職員の方や町から依頼を受けたケアマネジャーさん(介護支援専門員)などだそうですが、母みたいな人多いんだろうな…皆様、本当にお疲れ様です。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。