猫が母になつきません 第341話「はげます」
このところ疲れ気味の私をはげますためか、さびがいつもはしない狩りをしてきました。床にころんと綺麗な緑色のかわいいメジロ。傷がついていなかったので死んでいないかもしれないとしばらく観察しましたが、メジロが息を吹き返すことはありませんでした。ちいさな骸(むくろ)を見つめながら「こうなってしまったら何もしてあげられることはないのだなぁ」と、小さくも確かな《死》というものを目のあたりにして思いました。うちでは「私が死んだらパーティーするんでしょ?」「するするー♪」なんていう会話がしばしばですが、読者の方々がコメント欄によく後悔の思いを綴られているように、きっと私もああすればよかった、こうすればよかったとくよくよ考えるのでしょう。死んでしまったメジロを私が埋葬のために小さな箱にしまうのを見たさびは翌日もう一度メジロを捕まえてきて、今度は外から私を呼び「ここ押さえてー、ここからガシガシ」と鳥の食べ方をレクチャーしはじめました。「食べ方知らないからとかじゃないからー、もうやめてー」二度目は感傷に浸る状況でも状態でもなくなってしまいました。このごろ小鳥を見るとちょっと心配になってしまう私(拝)。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。