猫が母になつきません 第343話「さそわれる」
母に手がかかるようになってきて仕事がまったくはかどらない。毎日気がついたら夜、もう眠いし。うとうとしながらパソコンに向かっていると猫が「もう寝ようよ」と誘ってくる。寝たいのはやまやまなんですけど、この原稿を仕上げ…な・い・と…がくんっ。だめだ、だめだ。そうこうしているうちに母が起きてくるかも。最近はだいたい深夜2時くらいに起きてくることが多いから私が仕事に集中できる時間はとても短いのだ。病院でもらった安定剤飲ませているのに効かないのかな。先生は母に「記憶力がよくなるお薬だしときますねー」って言ってたな。そういうとみんな飲むのかしら。とにかく猫を寝かせよう。それから仕事。それにしてもパフォーマンズ悪すぎ。パソコンの前にただ座ってるだけで、眠くてちっとも進みやしない。寝かしつける時になでてやると猫はゴロゴロと喉を鳴らす。この音は周波数25ヘルツほどの「低周波」で、人間の体をリラックスさせる効果があるそう。本当に癒される。かわいくてふかふかなだけで充分なのに、不安を和らげたり、ストレスをなだめたりする効果があるので、免疫力や自然治癒力を高める副作用のない薬とまで…あ、また寝ちゃった。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。