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暮らし

時が過ぎるのが早く感じる理由「記憶に残る1日の過ごし方」を専門家が解説

 日本人の平均寿命は男女ともに80才を超え、第2の人生をどうやって豊かに暮らすかが課題となっている。人間に与えられた時間は124時間。時間とのつきあい方を変えれば、余裕を持った幸せな生活を送ることができるはずだ。時間学を研究する専門家に人生の後半戦を楽しむための「充実した時間の増やし方」を聞いた。

年を取るにつれ1日が過ぎる時間が早いと感じるのはなぜ?

 年を取るにつれ、1日が過ぎる時間が早くなったと感じやすいのはなぜか。「それには加齢に伴う体の代謝の低下が関係する」と、時間学の研究者である一川誠さんは言う。

「代謝が活発だと、体も頭もよく動くため、行動のスピードも速くなります。そうすると、実際に流れている物理的な時間よりも体感する時間が早く感じられるため、『これだけやったのに、まだこんな時間か』と時間の経過が遅く感じられる。

 他方、代謝が落ちると、行動のスピードも落ちるため、同じ時間の経過でも、『もうこんな時間?』と時が早く過ぎ去ったように感じるのです」(一川さん・以下同)

 また、年齢を重ねるうちに経験値は増えるが、日々の生活がマンネリ化するため、記憶に残らない時間が増えるという。

「子供の頃は、給食やおやつ、夕食の時間などが楽しみで、いわば毎日イベントがあるようなものですが、体験することが多いと、充実した時間も多いため、1日が長く感じられます。

 一方、大人になるとこれらのイベントも新鮮味が薄れてしまい、『いつものこと』と認識してしまうため、1日の終わりに『今日、何を食べたか覚えていない』というようなことが増え、あっという間に時間が過ぎたように感じてしまうのです」

 1日を有意義に過ごすためには、この「記憶に残らない時間」を減らすことが重要だという。

「それには、いままでと違った新しい体験をすることです。行ったことのないお店でランチを食べたり、イベントに参加するのもいいですが、1日の中でいつ何をするのかも重要です」

 その鍵となるのが代謝だ。

「人間の心身の状態は時間帯によって変わります。起き抜けはまだ代謝が上がらず、頭もぼんやりしている。時間が経つうちに代謝が盛んになり、心身も活発になって頭もさえるため、頭脳的作業に向いています」

 午前中に読書や勉強などをすれば記憶に残りやすいため、30分や1時間行っただけでも、

「今日はこれだけのことをやった、充実したいい1日だった」という満足度も上がるそうだ。

「記憶に残る時間」を増やす4つのコツ

1代謝を上げ、心身をしっかりと働かせるために朝食は必ずとる。

2読書や勉強などは頭が働く午前中に。

3掃除は体がよく動く正午以降に。

4長引きそうなSNSやメールのチェックは、起き抜けの30分程度にとどめておく。

満足度を上げる1日の過ごし方「時間割」とアドバス

700 起床、SNSのチェック

800 朝食、1日の段取りの確認

830〜 花の水やり、洗濯をする

900〜 読書、勉強をする

1200 昼食

1300 掃除

1400 映画鑑賞や散歩、ストレッチなど

1600〜 洗濯物を取りこむ、風呂の掃除

1700〜 買い物

1800 夕食の準備

1830 夫の帰宅

1900〜 夕食

2000 自由時間

2200 入浴、リラックスタイム

2400 就寝

●「SNSのチェック」は起床から2時間程度に

 代謝が低く、体に負担をかけるような作業は不向き。それほど注意力や記憶力が必要ない作業をする。SNSのチェックをするならここ。

●「読書や勉強」は起床後25時間程度

 論理的な判断を必要とする作業向け。頭脳を使う作業に適した時間帯のため、読書、新聞を読んで情報収集、勉強ならこの時間に。

●「運動」は起床後5時間~夕方まで 

 代謝もピークを迎え、体が活発に動く。競技スポーツの記録を残したいならこの時間帯に。掃除など体を動かす家事はここがはかどる。家でだらだらとネットショッピングをするより、散歩に出かけたり、ストレッチをするなど体を動かすこと。記憶に残りやすいので、映画を見るならこの時間帯に。

夕方~夜までは「リラックス」目的に

 代謝が下がりはじめ、作業のミスが増える。頭を使う仕事などは就寝直前までは続けず、眠気を感じたら、作業はやめて寝る準備をする。好きな音楽を聴くなど、リラックス目的のことをするのに最適。

就寝前~睡眠時まで 「睡眠を妨げることはNG」

 代謝が下がり、作業のミスが特に多くなる時間帯。睡眠を妨げることはしない。ブルーライトは睡眠を妨げるので、スマホは寝る1時間前に見るのをやめること。

教えてくれた人

一川誠さん(57 /千葉大学文学部教授。実験心理学が専門。「時間と心理学」を研究する。著書に『大人の時間はなぜ短いのか』(集英社新書)ほか。

取材・文/廉屋友美乃、山下和恵 イラスト/とげとげ。

女性セブン202322日号
https://josei7.com/

●写経、ファスティングなどひとり旅で自分時間を堪能できる宿4選

●老後健康のために始めてはいけないこと5つ|昼寝、長時間のテレビほか【医師監修】

●「親の介護で自分の時間がない!」タイパ時代の時間管理術・手帳の書き方を専門家が指南

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