シニア世代に人気「電動車いす」介護保険でレンタルするときのポイントをプロが解説
シニア世代に「電動車いす」がじわじわと広まりつつある。介護保険でリーズナブルにレンタルできる機種も増えてきている。レンタル費用はいくらくらいなのか?どんな機能があるのか? 新たに販売・レンタルが開始された話題の電動車いすをピックアップして解説。合わせて選ぶときや利用するときの注意ポイントを専門家に伺った。
電動車いすを介護保険でレンタルする人が増えている
「介護保険を使って電動車いすをレンタルする人は増えています。電動車いすは、一般的な車いすと違って、誰かに押してもらう必要がなく、自分で操作して行きたいところに行けるので、気兼ねなく外出することができます。シニア世代の方にとって行動範囲が広がる移動ツールになると思いますよ」
こう語るのは、福祉用具専門員の山上智史さんだ。
「最近のモデルは、しっかりした車輪でちょっとした段差もスムーズに乗り越えられると好評です」(山上さん、以下同)
山上さんが主宰する福祉用具事業所でも介護保険対応の電動車いすをレンタルする人が増えているという。
国内でいち早く電動車いすを手がけたWHILL(ウィル)の介護保険対応モデル『WHILL Model C2』が人気で、「とくに男性の利用者さまが『見た目が“カッコいい”』とレンタルされる方が多いですよ」(山上さん)
電動車いすは、購入する場合は20~50万と高額だが、介護保険の対象となれば、ハードルが下がるだろう。実際にいくらくらいでレンタルできるのか?どんな機能があるのか、最新機種をピックアップしながら確認していこう。
4時間充電で23㎞超と長距離走行が可能
電動アシスト自転車や電動車いすなど福祉用具の製造・販売を手がける三井から、2023年1月15日に日本初となるGPS搭載の電動車いす『Felice Moda(フェリーチェ モーダ)』が登場。
専用アプリを利用し、家族に位置情報やバッテリー残量を通知、リモート操作も可能だ。同時に発売となった介護保険でレンタルできるモデル『Felice oda(K)』は、GPS非対応だが、操作方法を音声で知らせる機能を搭載。操作スイッチなどがついているアーム部分は、左右を交換することもできる。
大容量バッテリーを搭載し、1回の充電で走れる距離が23~28㎞と長いのがポイント。アルミフレームを採用した軽量設計、本体を上下2分割できるので収納もしやすい。また、大容量のバスケットは着脱可能で、買い物にも便利だ。
【データ】
『Felice Moda(K)』
・販売元:三井 https://minotti.co.jp/wheelchair_moda.html
・販売価格:54万5000円(非課税)(GPS機能付き『Felice Moda』は同額で販売のみ)
・介護保険レンタル価格(1割負担の場合):約3000円/月
※レンタル価格は各事業所によって異なります。
走行距離:充電4時間で23~28㎞
サイズ:幅594×奥行1000×高さ950mm
本体重量:約42.5㎏
最大荷重:120㎏まで
収納:20L(カゴは着脱可)
販売価格(非課税):54万5000円
レンタル価格(月額)※ 約3000円
※介護保険1割負担の場合。
※レンタル価格は各事業所によって異なります。
電動車いすをレンタルするときの注意ポイント
前述の山上さんに電動車いすをレンタルするときに気を付けたほうがいいことを教えてもらった。
「ご自身の体の状態や行動パターンに合った電動車いすを利用するためには、メーカーや福祉用具事業所の専門スタッフに同行してもらって必ず試乗してみてください。その際、電動車いすを実際に使用する場所で試してみるのがおすすめです」(山上さん、以下同)
例えば、近所のスーパーまでの道や、よく通る場所などで試してみるのがいいとのこと。
「とくに注意するポイントは、段差、坂道、カーブの3つ。ここの段差は乗り越えられる?この坂道はどうだろう?などと、細かく確認することが大切です。最初のうちはスタッフと一緒に使ってみて、操作に慣れてからおひとりでの利用をおすすめします」
山上さんの福祉用具事業所では、電動車いすの利用者のうち、ほとんどがレンタルだという。
「一般的な福祉用具のメンテナンスは半年に1回が主流ですが、同事業所を通じてレンタルしている電動車いすの場合、月1回と手厚いメンテナンスを行っていますので、安心して乗っていただくことができると思います」
教えてくれた人
福祉用具専門相談員・山上智史さん
福祉用具貸与事業所にて介護福祉士として介護現場を経験。現在は福祉用具貸与事業所「K-WORKER」と便利屋事業(住まいるサポート)の管理者を務める。福祉用具専門相談員としての現場経験をいかした「高齢者在宅の自立支援・介助者負担の軽減を目的とした介適環境づくり」を実践している。
https://k-worker.co.jp/
取材・文/本上夕貴
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