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暮らし

最新版「割安で質の高いケアが受けられる」特別養護老人ホーム16を介護のプロが厳選

 物価高が家計を圧迫するなか、介護保険制度の改正が近づいている。時代の状況にあわせて保険料などが改定されるため、高齢者の負担が増えたり給付がカットされたりする可能性もある。そういった緊急事態に対抗するには、高齢者が住む施設の選び方が重要となる。そこで介護のプロが、負担を抑えながら安心して過ごせる「特別養護老人ホーム」を厳選した。

保険料の自己負担額が増え、物価高も

 日本の介護保険制度は、社会情勢に合わせて3年に1度の改定がある。22年10月、24年度に予定されている次期改定の骨子として、ケアプランの有料化や軽度者である要介護1・2を介護保険制度から切り離す案などが議論されると、業界からは「最悪の改定だ」と、不満の声が噴出した。

 全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長が解説する。

「少子高齢化が加速し、介護保険の利用者は右肩上がりです。制度を維持するため、ある程度の負担増を許容するのは必要なことだと考えています。

 次期改定で議論されていたケアプランの有料化などの案は今回見送られる方向ですが、負担は増える見通しです」

 次期改定最大の注目点は、介護保険サービス利用時の自己負担が増える対象者の拡大だ。

「現状では介護保険サービスの自己負担割合は原則1割です。今後、ある程度収入のある人は原則2割負担となる。これまでも徐々に広がってきましたが、次期改定でも2割負担対象者の枠が拡大します。さらに、中長期的には今回見送られた2つの案も実現していくことが予想されます」(斉藤氏)

施設選びはお金より「ケアの質」

 急激な物価高が続き、生活は苦しくなる一方だ。そのうえ、介護費負担増が待ち受けるなかでは、施設選びの”常識”も変わってくる。

 ケアタウン総合研究所所長の高室成幸氏が語る。

介護は”お金次第”というわけではありません。利用料が高くなくても、付属のカフェや庭園などを使ってリハビリやレクリエーションをしたり、独自の制度で人材育成に取り組むなど、工夫次第で介護の質を上げることは可能。建物や立地がいいのはもちろんプラス要素ですが、それだけにとらわれず、人の手が行なうサービスそのものに注目した施設選びが大切です」

 介護付き有料老人ホームの場合、数百万円の入居一時金と月額30万〜40万円の利用料といったケースは珍しくないが、そうした水準よりもはるかに負担を抑えながら親を安心して預けることができる介護施設を専門家に厳選してもらった。

特別養護老人ホームは長く住むことを前提に選ぶ

 特別養護老人ホーム(特養)などの評価・認証を請け負う第三者機関Uビジョン研究所の本間郁子理事長が説明する。

「特養は自治体や社会福祉法人が運営する公的な介護施設です。そのため利用料は比較的低く設定されています。介護度が重い人の終の棲家として選ばれることが多いので、長く住むことを前提に選ぶことが大切です」

 特養は多床室が中心の「従来型」と、個室が中心の「ユニット型」とに大別される。月額の利用料は介護度や収入にもよるが、8万〜18万円程度だ。公的施設という印象が強いが、ユニークな介護方針を掲げるところもある。

 食と医療面に工夫を凝らすのが、兵庫県尼崎市のアマルネス・ガーデンだ。施設長の福田望氏が語る。

「弊社には自家農園があり、無農薬の新鮮な野菜が毎日直送されてきます。厨房の料理人が安全な食事を提供することを心掛けています。また、『ケアマイスター』『サービスマイスター』という2つの認定資格を独自に運営し、介護技術とサービス力の向上に努めています」

 施設に併設するクリニックにはかかりつけ医のように医師と職員が常駐し入居者に対応する。また、本格温泉を思わせる大浴場も完備しており、介護施設にいることを忘れさせる。

地域住民が出入りできるので利用者との交流も盛んに

 団地内に立地し、地域住民が誰でも利用可能なカフェを併設しているため地域との活発な交流が特徴なのが、神奈川県川崎市のクロスハート幸・川崎。施設長の森真之氏が言う。

「コロナ禍の今は自粛していますが、団地の真ん中にあるので、近所の住民が自由に出入りして入居者の皆さんと交流していました。再開できる日を楽しみにしています」

 コロナ禍では、感染予防にも万全を期した。スタッフの出入り口を一つに決め、徹底して動線を分けることで感染拡大を防いだ。運営の経費を抑えるため、屋上には太陽光パネルを設置し電気代の節約にも腐心している。こうした工夫が利用者負担の軽減にもつながるのだ。

「入居者が生活をするうえで気になる”匂い”を抑え、施設を常に清潔に保つことが特徴です」

 そう話すのは、兵庫県宝塚市の中山ちどり施設長の石村陽一氏だ。

「排泄介助など、匂いが気になるケアを徹底的に管理することで施設内で排泄物の匂いがすることはありません」

 特養は長く住むことを前提とした生活の場だ。居心地よく過ごすには匂いの管理が基本となるが、徹底できていない施設も少なくない。

「当施設では入居者の皆さんの身体に直接触れるケアを担うスタッフとは別に、掃除や日常業務を専門に行なう人員を配置することで、きめ細かいサービスを提供できているのです」(同前)

介護の専門家が選ぶ「割安で質の高いケアが受けられる特養16選」

 負担を抑えながら親を安心して預けることができる「特別養護老人ホーム」を以下で紹介する。

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