介護用品や福祉用具はレンタルがおすすめの理由 介護保険対象の品目や活用方法を解説
在宅介護には、日常生活に必要な身の回りの介護用品や、ベッドや車いす、手すりなどの福祉用具が必要となるが、これらは“レンタル”するという方法がある。「福祉用具は購入するよりレンタルがおすすめ」と語る専門家に、そのメリットや対象となるものなどについて教えてもらった。
介護用品や福祉用具はレンタルできる
介護が始まると手すりや車いす、介護用のベッドなどさまざまなものが必要になる。介護用品や福祉用具は、「介護保険サービスを利用して、購入せずにレンタルするという方法があります」と、福祉用具専門相談員の山上智史さんは話す。
記者の母(90才)も要支援2のとき、廊下に手すりをレンタルで付けてもらったのだが、最初は何が必要で誰に相談すればいいか困惑した経験が…。
そこで改めて、介護に必要な福祉用具とは何か、どんなものがレンタルできるのか、レンタルするときの流れや注意ポイントを山上さんに聞いた。
介護用品や福祉用具は、介護保険サービスが適用されるものもあり、所得により1~3割負担で利用できる。
「購入するより、レンタルのほうが、ご本人の体の状態や介護する人の変化や介護環境の変化に合わせて見直すことができるので、常にベストな福祉用具を使い続けることができます」(山上さん、以下同)
レンタルがおすすめの3つの理由
1.状況に応じて返却・変更ができる
「介護が必要になった高齢者の体調は変化しやすく、使い始めた車いすが1か月後には合わなくなってしまうといったことも。今の体の状態に合わせていつでも変更や返却が可能なことが、レンタルの最大のメリットです」
2.お試しができる
「利用する物によって異なりますが、レンタル料金が発生する前に1週間ほどのお試し期間が設けられていることも。使ってみて体に合えば1か月ごとにレンタルを継続するといいでしょう。試してみて合わなければ、ほかのものを提案してもらうことができます」
3.福祉用具専門相談員が定期的にチェックしてくれる
「介護保険対応の福祉用具をレンタルすると、福祉用具専門相談員が介護の必要な方と介護する人、環境に合ったものを選定します。自立支援や介助者の負担軽減のために、今の状態に合うベストな福祉用具を提案してくれるのです」
福祉用具をレンタルするメリット
福祉用具をレンタルするメリットは、なんといっても利用料が安く抑えられること。また、故意による破損など以外は、基本的に故障などの修理費もかからず、商品の交換などにも対応できるのもメリットだ。
「介護保険適用の福祉用具の一般的な月額レンタル料は、1割負担の場合、歩行器や手すりは300円、ベッドは1000~2000円、車いすは500円~2000円くらいが相場です。
たとえば、歩行器なら購入する場合は、4万円を超えるものもあるため、月額300円で借りられるなら、レンタルのほうがお得ですよ」
在宅介護で必要な介護用品・福祉用具
まずは、介護にどんなものが必要になるのか、以下で確認してみよう。山上さんに、使用シーン別、介護に必要になる介護用品・福祉用具をリストアップいただいた。
それぞれ、介護保険サービスを使ってレンタルできるもの、介護保険サービスを使って購入できるもの、介護保険が適用されないものがある。
以下で、必要なものと、レンタル(介護保険適用)、購入のみ(介護保険適用)、介護保険適用外(全額自費)をチェックしておこう。
【室内全般】
・歩行器 → レンタル可
・手すり → レンタル可
・ケアシューズ(介護用の室内履き) → 介護保険適用外
・スロープ → レンタル可
・立ち上がり電動リフト座いす → レンタル可
・徘徊センサー・見守りカメラ → レンタル可(地域による)
【寝室】
・ベッド横手すり → レンタル可
・介護用ベッド → レンタル可
・エアマット(床ずれ防止用の寝具) → レンタル可
・移乗用リフト → レンタル可
・介護用のシーツ → 介護保険適用外
【浴室】
・入浴用手すり → 購入のみ(介護保険適用)
・シャワーチェア → 購入のみ(介護保険適用)
・浴槽内椅子 → 購入のみ(介護保険適用)
・シャワーキャリー → 購入のみ(介護保険適用)
・バスボード → 購入のみ(介護保険適用)
・入浴用リフト → レンタル可
【食事】
・食器(スプーン・フォーク・お皿など) → 介護保険適用外
・介護食品 → 介護保険適用外
・食事用エプロン → 介護保険適用外
【衣類】
・介護用の肌着や衣類 → 介護保険適用外
・介護用のパジャマなど → 介護保険適用外
【排泄・トイレ】
・ポータブルトイレ → 購入のみ(介護保険適用)
・尿器 → 介護保険適用外
・おむつ → 介護保険適用外
・トイレ用手すり → レンタル可
・自動処理尿器 → 一部購入(本体はレンタル可)
・トイレキャリー → 購入のみ(介護保険適用)
【外出時】
・歩行器 → レンタル可
・ケアシューズ(介護用の靴) → 介護保険適用外
・シルバーカー → 介護保険適用外
・杖(多点杖のみ)→ レンタル可
・車いす → レンタル可
・電動車いす → レンタル可
・姿勢保持クッション → レンタル可
・電動カート → レンタル可
・玄関用リフト → レンタル可