猫が母になつきません 第331話「いってくる_その3」
母が初めての入院をした翌朝早く病院から電話が。「退院の許可がおりたので迎えに来てください。何時に来れますか?」「そわそわされてるので早めに来てください」。そわそわ?とにかく早く迎えに来てほしい感じだったので開院時間に合わせて病院に向かいました。退院の手続きをしていると母は前日のぐったりから一転、けろっとした感じで現れてそわそわ。点滴うってぐっすり寝てすっかり元気になった母は一刻も早く帰りたくてそわそわして看護師さんにかなりせっついたに違いありません。「〇〇さんのポケットから薬がでてきたのっ」「えーっ!大変っ」といった看護師さんたちの会話を聞きながら、とっととこのそわそわを連れて帰ろうと思いました。家に着いた母は一息いれると自分のことは棚にあげて「あんな年寄りばっかりのところ…」と次から次に文句が止まらない。いきなりもとの生活に戻ってみると、もっとひとりの時間がほしかったなぁと思う。面会もオンラインだけなんだし。私と猫だけの夢のような生活…大事に至らなかったからこその空想ですが。ご心配おかけしました。母は元気です。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。
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