猫が母になつきません 第330話「いってくる_その2」
外出中に気分が悪くなった母。私は救急隊の人から連絡があった搬送先に向かいました。日曜日の夕方、病院はとても静かで外来には母だけでした。検査の結果、脳に異常はないとのこと。しかし母はまだめまいと吐き気がやまず、立つこともできません。帰りたがっていましたが、大事をとって入院することになりました。そこからがまた大変で、私は看護師さんや事務の方にいろいろな説明を受け、次から次へとたくさんの書類にサインしなくてはなりませんでした。その中でも「身体抑制」「行動制限」といった項目には高齢者の入院の現実をつきつけられました。「安全な入院生活を送っていただくため」「生命の危機を避けるため」に必要な場合はやむを得ず身体抑制をする可能性がある、という同意書にも私はサインしました。いまのところ母はめまいで立てないのでおむつも必要でした。面会はオンラインでのみ。明日の朝、母が回復しているか、具合が悪いままか、それによって今後は大きく変わるだろう。私は帰る途中コンビニで温かいコーヒーを買い、少し落ち着いてからハンドルを握り直しました。つづく
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。
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