高齢者や介護現場で人気の服「ベスト」 ユニクロなどおすすめ商品、選び方を解説
高齢者や介護シーンにおいて肌着や衣服は脱ぎ着のしやすいことは大切なポイントだ。肌寒くなってきたこの季節はとくに「ベスト」が重宝する。「デイサービスの利用者の多くの方がベストを着用していますよ」と、デイサービスを運営し、シニア世代の衣服事情に詳しい森真貴子さんに、人気の理由や選び方などについて教えてもらった。
高齢者におすすめ「ベスト」着脱・体温調整がしやすい
90才になる記者の母は、「洗濯や料理をするときは、ベストが一番!」と、いつも言っている。水廻り仕事のときでも身体は暖かく、袖がないのでもたつかず、家事がしやすいので便利だとのこと。
シニア世代をはじめ、在宅介護を受けている人や高齢者施設の利用者にとって、ベストが人気の理由を聞いた。
「高齢者施設や在宅で生活をしている高齢者の方にとってベストはとても便利なのでおすすめですよ」
こう話すのは、大阪府内で3カ所のデイサービスを運営するギフトリレーションズの森真貴子さん。
最近はユニクロが介護現場で活用できる商品の大規模な展示会を行い、話題を集めたが、森さんは、その展示会でアドバイザーも務めた。
「介護シーンでもユニクロなどのファッションブランドが注目されています。ユニクロでは、入院や介護が必要な人にとって着脱がしやすい面ファスナーの肌着を販売し、反響を呼びました。
そんな中で注目したいのが“ベスト”。私が運営しているデイサービスでも、利用者さまの約3割は、ベストを日常的に着用しています」(森真貴子さん、以下同)
シニア世代や介護が必要な人にとって、ベストが人気の理由は、「袖がないため、介護する側も着せやすく、高齢者の方にとって体温調整がしやすいんです。また、介護の仕事をするスタッフの中でも動きやすいアイテムなんです」
ベストを選ぶときの5つのチェックポイント
高齢者にはどんなタイプのベストがおすすめなのか?
「脱ぎ着がしやすく、軽量で伸縮性があるもの。被って着るタイプより、前開きのベストがおすすめです。長時間着ても肩がこらないように軽量のもの方が高齢者には適しています。
面ファスナーやボタンが大きいものなど、高齢者ご自身で着脱がしやすいタイプを選ぶといいでしょう。
また、食べ物や飲み物をこぼしたときについた汚れがさっと拭けますし、汚れがつきにくい素材だと洗うときにラクです」
サイズも窮屈なものより、少しゆったり目のものを選ぶといいとのこと。
【高齢者に適したベストのチェックポイント】
1. 脱ぎ着しやすい、させやすいもの
2. 軽くて伸縮性がある素材のもの
3. 前開きのもの
4. 汚れがつきにくく洗いやすい素材のもの
5. 介護度や身体の状況に合ったもの
冬は防寒としても便利
肌寒くなってきてコートを着るほどではない季節には、ちょっとした防寒としても便利だという。
「薄くて暖かいユニクロの『ウルトラライトダウン』のような、前開きの軽い素材のものがおすすめ。
私が運営しているデイサービスのご利用者さまでも、ユニクロのものを選んでいる方は多いですね。ユニクロは全般的に衣類や肌着の伸びも良く、介助側も介助しやすいので、ご家族の方でも選ばれる方が多いですよ」(森さん)
価格も抑えめで機能的なファッションブランドの衣類は、高齢者にとっても、介護する人にとっても重宝するようだ。
森さんの運営する施設の1つ「安岡寺けやきの家」の管理者・介護福祉士の井口千賀子さんも、
「ご利用者さまもベストをよく着ている方もいらっしゃいますが、私たち介護するスタッフにとっても、ベストは動きやすいのでとても便利なアイテムです。私もいつも着ていますよ」と話す。
「コロナ禍でなかなか外出なども思うようにできなかった方も多いかと思いますが、そろそろ紅葉など季節の変化を感じるためにも、お出かけする機会が増えてくるかと思います。
お気に入りのベストを着用して暖かくしながら、積極的に外に出たり人に会ったりすることを楽しんでほしいと思います」