猫が母になつきません 第446話「やりすぎる」
新緑の季節。木々がもりもりしてくるのと同じように雑草ももりもり生えてきます。とくにうちは空き家だった時代に雑草がはびこり、地中に根がしっかり張って種もたくさん残っているので抜いても抜いても生えてくる。
現在うちで一番幅をきかせている雑草は「スズメノヤリ」というイグサ科の植物で、根っこは茎を束ねたようにみっちり太く生えているので簡単には抜けません。「チガヤ」という地下茎の雑草も手強かったのですがこちらはほぼ撲滅。でもスズメノヤリは生えている範囲が広い(ほぼ庭全体)うえに抜くことは不可能で周りから掘り起こす感じ。腱鞘炎も心配ですが、腰も気をつけてなくてはいけません。母はかつて草抜きで腰椎の圧迫骨折をしましたし。
なぜそんなにやっきになって雑草退治をしているかというと、昔は庭を覆っていたらしい芝生の復活作戦を遂行中だから。雑草に追いやられ、ちょろっとしか残っていなかった芝生エリア。しかしその周りの雑草と芝生に混ざって生えていた雑草を取り除いてやると芝生はどんどんその範囲を広げ始め、ちょろっとだった芝生エリアは今は倍くらいにまで広がっています。春が来てますますその勢いは増し、伸びていく芝生の最前線を雑草が邪魔しないようにスペースをあけておかなくては。芝生に「はやくはやく、もうその雑草のところまで伸びてしまうよ」とせかされる。自然は待ってくれない。だからついついやりすぎてしまいます。
昔、実家で父がよく庭の雑草をひとりで抜いていました。時を経て自分が実家に戻って草抜きをしている時に自分は父に成り変わったのだな、と思いました。手伝えとも言わずもくもくと草抜きをしていた父の気持ちがすっと私のなかに入ってきました。草抜きって自分のなかにあるいろいろな思いに向き合うのによい作業なのだと思います。それが嫌なことだったとしても自然の中なので深刻になりすぎずに済むし、綺麗になればすっきりするし。いい大人にはもってこい。それにしても、父はよく上半身裸で草抜きしていたけど虫に刺されなかったのか? 昔は虫除けスプレーもなかったのに…謎です。
【関連の回】
第10話 こっせつ その1
第11話 こっせつ その2
第12話 こっせつ その3
第426話 たたかう
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
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