シニアにおすすめの「やめ家事」でトイレ・お風呂掃除をぐんとラクにする方法
シニア世代や介護中の人にとってトイレやお風呂の掃除は、手間や体力も必要。そこで注目なのが「やめ家事」といって、やらなくていい掃除を手放していくという考え方。家事アドバイザーの矢野きくのさんが、トイレ&風呂掃除でやめるべきポイントについて教えてもらった。
トイレ掃除をラクにする「やめ家事」
汚れやすい場所でもあり、ニオイも発するのがトイレです。まめに掃除をしないでいると汚れが固まり、余計に掃除の労力がかかってしまいます。そんなトイレ掃除をラクにする「やめ家事」とは?
【1】毎日のトイレ掃除をやめる2つの方法
トイレ掃除は、汚れが目に見えていなくても毎日されているかたも多いのではないでしょうか。掃除の頻度は、トイレの場所(パーツ)にもよりますが、便器の中の掃除を毎日されているのであれば、やめる方法もあります。
まずはトイレで大きなほうの用をするとき。用の前に最初にトイレットペーパーを少し敷いておくだけで、便器が汚れる回数をグッと減らすことができます。
また、ジェル状の洗剤をスタンプしておくことで、トイレを流すために洗剤成分も流れ汚れにくくしてくれます。
【2】汚れがつくトイレブラシはやめる
従来のトイレブラシは掃除が終わったら立てかけられる収納ボックスのようなものに入れて片付けます。しかし、そのトイレブラシは汚れていた便器を掃除したものなので、トイレブラシ自体が汚れてニオイの元となっていることも。
また、そのトイレブラシをキレイに洗おうとすると手間がかかるものです。
トイレブラシはやめて、使い切りタイプの洗剤が含まれている紙製のものを利用してはいかがでしょうか。掴むものは100円ショップでも売っている「スポンジ用トング」が便利です。
【3】洗うのに手間がかかるトイレスリッパをやめる
布製のスリッパは他の部屋で使っていても洗うのに手間がかかるものです。それが汚れる可能性があるトイレとなるとさらに大変です。トイレを掃除してもニオイがする場合、スリッパが汚れているということもあるのです。
布製のスリッパはやめて、EVA樹脂など簡単に洗うことができるサンダルにしましょう。
トイレのサンダルでさらにおすすめなのは、両側どちらからでも履けるスリッパ(サンダル)です。狭いトイレから出るときに方向を整えるために体の向きを変えないでも済むので便利です。
トイレマットはやめるべき?
家事をラクにするアイデアとして、「トイレマットをなくす」というのを聞いたことがあるかたもいるのではないでしょうか。トイレマットがないほうがいいというのは、トイレマットに尿が飛ぶとニオイの元にもなり、洗濯にも手間がかかるという理由です。
・尿の飛び散りがない家庭は「やめる」
しかし、トイレマットの要不要は、家族構成と床の材質によっても変わってきます。家族構成が女性だけの場合、尿が飛び散ることもないので、トイレマットはないほうが掃除をラクにできます。
・床の素材に尿が染み込みやすい場合は「やめない」
床の素材がタイルなどで、仮に尿が飛んでも染み込まない材質であればトイレマットがなくても簡単に掃除ができるのでいいでしょう。しかし、家族に男性がいて、床はフローリングなど尿が染み込んでしまう可能性がある場合は、トイレマットがあるほうが結果的に掃除がラクになることもあります。
風呂掃除をラクにするための「やめ家事」
体をキレイにする場所なので清潔にしておきたいお風呂場。しかし人の垢や湿気のため、カビが生えやすい場所でもあります。そんな風呂掃除をラクにするための「やめ家事」とは?
【4】床にボトルを置くのをやめる
シャンプーやボディーソープなどのボトルを床に置くと、接している面からヌルヌルしてきて汚れがたまってしまいます。また浴室の床に何もなければ簡単に掃除をすることもできますが、ボトルがあるとそれをいちいち移動させないとならないので、床掃除がおっくうになってしまうものです。
そこで、ボトル類を浮かせて、「床に置くのをやめる」という方法があります。
浴室の壁がマグネットタイプであれば、最近はマグネットでつくボトルもあります。マグネットがつかない壁の場合は、シャンプーなどの詰替えタイプを吊るして使うフックタイプのものもありますので、そのようなものを利用するのもよいでしょう。
フックタイプのものは一部の100円ショップでも買うことができます。
【5】浴槽の掃除は手に持つスポンジはやめる
お風呂掃除はスポンジを手に持ち、体を折り曲げて浴槽の掃除をするイメージのかたも多いのではないでしょうか。手に持つスポンジで浴槽を掃除するのは体力もいることですし、体勢を崩して怪我をする危険もあります。
お風呂場の掃除は、手に持つスポンジをやめて、柄が長いタイプのスポンジにしましょう。柄が長いタイプのスポンジなら浴槽の中だけでなく、壁や天井まで掃除をしやすくなります。
【6】いっそのこと擦るのもやめる
浴槽掃除の洗剤も進化して、最近ではスプレーして60秒待ち、あとは水で流すだけというものもあります。スポンジで擦る手間も一気に省けるので便利です。
スプレーするだけでは気になるというかたは、数日に1回スポンジも併用するなど、擦る回数を減らすことにこのような洗剤を利用するのもよいでしょう。
お風呂やトイレ掃除は、こまめに掃除をしなければあとが大変になりますが、今回ご紹介したように、やり方を変えるだけでラクになる方法もあります。「やめ家事」ぜひお試しください。
執筆
家事・節約アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/