76才で48才の血管年齢を維持する医師が教えるセルフマッサージ「血管しごき」とは?
国立循環器病研究センターの調査によれば、11月から1月にかけては1年で最も心筋梗塞が発症しやすい時期だという。同じく血管の急激な収縮によって起きる脳卒中も冬の朝に発症しやすいとされる。つまり冬は、「血管」の病で命を落とすリスクが大きく上がる時期なのだ。そこで注目なのが「血管しごき」と呼ばれるセルフマッサージメソッド。考案者である医師に話を聞いた。
「血管しごき」とは?
体内にあり、目で見て状態を確認することが困難な血管を、どうケアすればいいのだろうか。
実年齢76才に対し、約半分の48才の血管年齢を維持している大阪市立大学医学部名誉教授の井上正康さんが提唱するのは「血管しごき」と呼ばれる独自のセルフマッサージメソッドだ。
「筋肉をつかんでもむ通常のマッサージとは根本的に異なり、筋肉の下の骨までしっかり触れてしごくように刺激することが特徴です。そうした動作をすることにより、動脈を直接刺激して、 血管を若返らせることができるのです。実際、高血圧に悩む20人を対象に『血管しごき』を毎日15分、2週間続けてもらったところ、実験前には平均169.4/98.2mmHgだった血圧が、実験後には平均160.8/94.7 mmHgと大幅に下がった。『体が温まり、軽くなった』『眠りにつきやすくなった』と話す人も多くいます」(井上さん・以下同)
重点的にしごくべき部位は、手・頭・顔の3か所。
「フジコ・ヘミングのように世界的に著名なピアニストには健康なまま年を重ねる人が多い。それは日常的に手と脳を使っているからです。『血管しごき』も同様に自分の手で頭を働かせながら行うため、動脈をほぐす効果に加えて、脳の神経や血管を活性化させて認知症予防も期待できる。特に手・頭・顔のマッサージは脳に刺激をダイレクトに伝達しやすい部分であり、この3か所だけ行えば脳の6割の部分が刺激されます」
スタートは、手の血管から。
「両手を組んで、こすり合わせるようにしながらゆっくり引き抜き、手全体の血流を促した後、指の血管を1本ずつしごきます。グッと力を入れて皮膚と筋肉をつかみ、骨の周りをねじるように刺激するのがコツです」
血管や神経が密集する頭部と顔も、マッサージの効果が出やすい場所だ。
「頭頂部をマッサージするときは、血管をほぐすことに加え、頭頂部のつぼを刺激することを意識してください。顔に行う時は鼻筋の側面と額、頰骨をしごきましょう。特に鼻の側面には、花粉症やしわ予防に効果があるつぼが存在します」
強くもみ込む必要があるため、けがをしないように事前に爪を切っておこう。
「“痛気持ちいい”を目安にして、ちょうどいい力加減を探してみてください。また、誰かにしてもらうのではなく自分で行うことも大きなポイントです。自身の手を使うことで、脳の活動量が30%高まります」
「血管しごき」のやり方
指しごき
【1】両手を付け根で組み合わせ、片方の指でもう片方の指を締めつけながらグリグリとねじって引き抜く。指の両サイドを刺激して内部の動脈をマッサージするイメージで行う。
【2】指をつかんで回転させながら引き抜く。引き抜く際は、指先までしっかりしごくことを意識する。
頭しごき
頭のてっぺんに手のひらを重ねて置き、強く押さえながら前後左右にずらすように動かす。その後、手のひらをこめかみに移動させ、両手で頭を包むようにしながら上下左右にこめかみの皮膚を強くしごく。
顔しごき
【1】薬指を鼻筋に当てるようにして、3本の指を小鼻からまぶたの間を往復させる。皮膚を骨に押しつけるイメージで行う。
【2】両手の指の腹4本を額に当て、骨に押しつけるようにして上下にしごく。
【3】頰骨の下のくぼみに手のひらを当て、骨に押しつけるようにして上下にしごく。
教えてくれた人
井上正康さん/大阪市立大学医学部名誉教授
イラスト/おしろゆうこ
※女性セブン2022年11月24日号
https://josei7.com/
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