自宅を終の棲家にするメリット・デメリット|部屋別リフォームのポイントを専門家が指南
要介護認定を受けていれば、リフォームを1~3割負担でできる可能性がある。たとえば、手すりやスロープの設置、フローリング床材などへの張り替え、引き戸や洋式便器への取り替えなどが対象だ。
「段差が大きい部分、トイレや浴槽など起き上がる行為をする場所に手すりは不可欠です」(田中さん・以下同)。
■玄関
玄関やその周辺は、段差を解消すること。
「玄関は、大きめの段差が多いので、工事不要の置き型の手すりを介護保険でレンタルすれば安く済みます。門扉から玄関までのアプローチには置き型の手すり、玄関の上がりかまちの段差が大きければスロープや移動用リフトを、車いすとセットでレンタルするのもおすすめです」。
■客間
1階の客間を寝室にする場合、床材の見直しが必要になる。
「転倒しても衝撃が少ない防水性のクッションフロアに替えることをおすすめします」。
費用の目安は6~8畳で5万~20万円。段差が生じないよう注意したい。畳のままだとしても、縁でつまずかない対策が必要。布団から起き上がるための置き型の手すりは介護保険で借りられる。
■台所
2019年に起きた3万7683件の火災のうち、ガスコンロによる火災は2497件。
「特に高齢者は火の不始末が増えるので、ガスコンロをIHクッキングヒーターに替えたり、古いガスコンロを安全性の高い最新式に取り替えましょう」。
たとえば、ガスコンロをIHに替える場合、本体の購入費と工事費の合計は10万~25万円が相場となる。
■トイレ
トイレは、介助者とともに車いすごと出入りできる広さがほしい。
「開き戸を引き戸に取り替え、入り口を広くする方法なら、介護保険を使い、数万円程度で済ませられます。トイレの隣に洗面所がある間取りであれば、トイレの壁や戸を撤去して広さを確保してもいいでしょう。この場合、費用の目安は50万~100万円です」。
■浴室・脱衣所
冬場は浴室と脱衣所の温度差が大きく、ヒートショックで倒れる高齢者が多い。
「脱衣所にエアコンを設置するか、数万円程度で購入できるヒーターを置きましょう。浴室の窓がシングルガラスなら、内側に断熱性能の高い窓の追加設置を。4万~5万円程度でできます。浴室や浴槽の床は、滑り止め用マットを敷けば工事は不要です」。