猫が母になつきません 第324話「さがしまわる」
朝7時、起きて猫にごはんをあげてリビングにいくと母がいない。とっくに起きたのはわかっている。寝室にもいない、庭にもいない。そもそもバッグと鍵がない。日付や時間がわからなくなっているので、時間を勘違いしてどこかに出かけた? こんな時の紛失防止タグ。スマホで確認すると近所にいるらしいけど普段よく行く場所ではなく心あたりりがない。とにかく外に出てタグをたよりに歩きながら母を探す。タグのポイントにかなり近づいてきたところでバイクに乗ったおまわりさんが通りかかったので声をかける。「近くにいるとは思うんですけど」というと「ちょっとぐるっと見てきますね」とバイクで探しに行ってくれる。その間に家に電話をしてみるも出ず。おまわりさんが戻ってきて、うちの住所だの母の名前だのを言って、もう一度家に電話をしてみると母が「もしもし?」。母は山本さんちにあげると約束していた植木鉢を届けに行っていたと言う。おまわりさんが「よかったですね」とやさしく言ってくださったのですが、私はほっとするよりも徒労感と将来への不安で、こわばった顔のままだったと思います(疲)。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。