全国で15万棟の住宅を再生!「新築そっくりさん」全工程を大公開|戸建リフォームをシミュレーション
いつかは住宅リフォームをしてみたいけれど「イメージがわかない…」そんな人のために、戸建リフォームのシミュレーションをしてみました。実際のリフォームはどう進んでいくのか。全国で15万棟超の住宅再生を手がける住友不動産のまるごとリフォーム「新築そっくりさん」の全工程にのっとり、リフォーム計画の予行演習をスタート!
独自の「完全定価制」で追加費用の心配不要
「新築そっくりさん」でリフォームをする際に推奨しているのは、やはり耐震・断熱・省エネ性能の強化だという。住友不動産「新築そっくりさん」セールスエンジニアの寺尾麻記子さんは解説する。
「家は『命を守るもの』という考え方に基づき、耐震補強にはこだわっています。そして断熱。年を重ねると、だんだん寒暖の感覚が鈍ってきます。住み慣れた家で長年、暑くても寒くても『そういうものだ』とがまんして暮らしてきた人たちにとって、家の中の温度のバリアフリーなんてまったく思いもつかないことなのです。しかし、命を守るはずの家で、昨今は真冬のヒートショックなどで亡くなるかたが増えています。事故を減らし、健康的に長生きするためにも、そしてお金の節約のためにも断熱リフォームはおすすめです」(寺尾さん)
同社では、前出の補助金制度の活用を積極的に提案しており、地域ごとに違う補助金の使い方のアドバイスから申請のサポートもしている。
「新築そっくりさん」が生まれたのは1996年。阪神・淡路大震災により、多くの住宅が倒壊したことが契機だったという。住友不動産 広報の服部成子(しげこ)さんは語る。
「当時(現在でも)のリフォーム業界は、工事が終わってみないと価格がわからない、新品設備の入れ替えや壁紙の張り替えをしても耐震性能は旧耐震のままであるなど、構造的な問題を抱えておりました。しかし、これからは命を守る家を作らなければいけないと痛感した当時の社長が、追加請求のない『完全定価制』の商品を開発しました。いまもその理念は変わりません」(服部さん・以下同)
「完全定価制」とはどういうものなのか?
「一部のリフォームであっても、私たちは家全体を無料で調査(健康診断)します。そして、修繕が必要な箇所を、最初からすべて見積もりに計上して、お客様に提出しています。もちろん、やるかやらないかは、お客様の判断です。将来老人ホームに行くので、いま暮らせればいいというかたなら『ここまでやる必要はない』となりますし、二世帯同居を見越しているかたは『もう少しここを補強しよう』となります。そのかたがどういう家にしたいかが、いちばん大切ですね。“全部乗せ”の見積もりですから、最初は『高い』と思われることもありますが、リフォームは後から積み上がっていくことが多いので、結果的にお得だった、という声もいただいています」
このシステムのため、同社では建物診断をもっとも重要視しており、診断結果は病院のカルテのように一本化で管理しているという。
「着工までに工事内容と見積もりを確定しますので、工事が始まって不測の事態が生じたら、もちろん作業はしますが、追加費用は発生しません」
■住友不動産 新築そっくりさん
大規模リフォームから部分リフォームまで、26年の知見を生かしたオーダーメードのリフォームを提供する。https://www.sokkuri3.com/
成功のコツは相談できる相手に出会うこと
リフォームのカギとなるのは、依頼者の要望や悩みを引き出し、より最適なリフォームプランを生み出すセールスエンジニア(以下SE)の存在だ。
全国に1200人いるSEは、ヒアリングによるプラン提案、見積もり提示から、工事中の打ち合わせや進捗報告、工事完了、引き渡しまで一貫して施主のサポートを行う。
「ご自分の家の問題を的確に把握できるかたはそんなにいません。お客様のお話から、問題や要望を引き出すのがSEです。その結果、家族間のもめごとを解消する手助けをしたSEもいます(笑い)」
SEとして寺尾さん自身が手がけた印象深いリフォーム例があるという。
「実家に戻った娘さんとお母さんの二世帯住宅を担当したことです。延床面積28坪の家でしたが、玄関からすべて完全分離住宅にしたんです。ほかの人から見たら狭いのにもったいないと思われそうですが、すでにそれぞれ生活スタイルをお持ちでしたから、『どんなに狭くなっても、お互い干渉し合わない方がいい』という決断でそうなりました。その後も、とても快適にお過ごしです」(寺尾さん・以下同)
減築といっても、平屋にするだけでなく、要らない部位を取ってしまうやり方もあるそうだ。
「古い家の多くが、回り廊下があるために真ん中の部屋が暗くなってしまっていますよね。昔は親戚も多く集まったのでしょうが、いまは夫婦だけ。それなのに、主役がいつまでも暗い部屋で過ごしているのは健康にもよくありません。そこで、廊下を取り除いて部屋を広げ、光が入るように改装したこともあります」
減築で余ったスペースは、帰省する子供のためのガレージや孫の遊び場にするなど、再生の方法もさまざま。
「マンション住まいの子供さん家族が、ガレージにテントを張ってアウトドア気分を楽しんだそうです。リフォームにより実家が帰りたい場所になり、子供や孫との交流がさかんになったと喜ばれました。リフォームは、最初の準備は大変ですが、ヒアリングがきちんとできれば、後は好みの設備や仕様を選んでいくだけ。お客様の煩わしさがずっと続くものではありません」
リフォームの失敗と成功を分けるのは、やはり相談できる相手を見つけることか。
リフォームの流れ
「新築そっくりさん」の例をもとに、プランニングから完成までの流れを解説。
【1】資料請求・現場見学会など
全国各地で工事中または完成した物件を見られるイベントやリフォーム見学会・相談会を開催しており、リフォームのイメージを体感できる。相談は、専門知識を備えたSEが担当。同社では、1~3のプラン・見積もりまで無料だが、事業者によっては2、3が有料のこともある。
【2】建物診断(インスペクション)
リフォーム計画にいちばん重要な工程で、調査員が自宅を訪れ、床下・屋根・外部・傾きの調査や間取りの確認をするなど、家全体の健康状態を調査する。また、国土交通省の基準に準拠した耐震診断計算プログラムにより、耐震強度をチェック。
【3】プラン・見積もり
【2】の調査結果をふまえ、担当SEが改修プランや耐震補強案を提案し、見積額を提示。この金額が最終の支払金額となるため、工事開始後に白アリや雨漏りなど不測の事態が起きても、追加費用は発生しない。
【4】契約【5】仕様決定
【3】の見積もりから、施主が必要なリフォーム箇所を決定し、納得したところで契約書を交わす。その後、内外装の色、フローリング、システムキッチンなどの仕様を決め、コンセントや棚の形状などの細部も決めていく。
【6】着工
工事進行中は、施主・SE・現場の施工統括者の3者で定期的に打ち合わせを行い、工事の進捗状況を報告・確認する。工事前には施主・SE・施工統括者が近隣へ挨拶回りを行う。
【7】品質チェック
SE・施工統括者は都度チェックを行うが、品質を管理する専門の工事検査員が基礎・梁(はり)補強・耐震壁など、依頼を受けた部分の検査を行い、不具合があった場合、是正の指示と、再度チェックを行う。
【8】完成・引き渡し【9】アフターサービス
施工後は、最長10年間の保証、キッチン・風呂・洗面化粧台・トイレ・給湯器の10年保証、1か月・3か月・12か月の定期点検などのアフターケアがつく。また、24時間・365日対応のお客様センターで、水漏れなどの相談に対応。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2022年7月28日号
https://josei7.com/
●50代から始める「最期まで暮らせる家」改修ポイント5つ リフォームの注意点を解説