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夏の睡眠調査「80%以上が悩みや不満あり」熱帯夜にぐっすり眠るテクを専門家が指南

「女性セブン」の読者3492人に「睡眠」に関するアンケート調査を行った結果、「眠りが浅い」「疲れが取れない」など多くの人に悩みがあることがわかった。実は、夏は1年で最も“眠りの浅い季節”でもある。そこで、加齢×猛暑のWパンチに負けず上質な眠りを得るための解決策を専門家に伺った。

多くの人が困っている「睡眠」の悩みってどんなこと!?

 3000人以上の方にご協力いただいたアンケート結果は下記の通りでした。

★50%近くの人が睡眠時間は6時間未満

 厚生労働省の『健康づくりのための睡眠指針2014』では、65才の適切な睡眠時間の目安は6時間。けれど、約半分は6時間眠れていないという結果に!

●8時間以上9時間未満…4.29%

●7時間以上8時間未満…16.83%

●6時間以上7時間未満…31.84%

●5時間以上6時間未満…29.61%

●4時間以上5時間未満…13.14%

●3時間以上4時間未満…2.60%

●3時間未満…0.60%

★睡眠に関して悩みや不満を感じている人は80%以上!

 男女比は女性3203人:男性287人。圧倒的多数が睡眠の悩みを抱えていることがわかる。

●悩みや不満がある…80.41%

●悩みや不満はない…19.58%

★悩みは多種多様。悩みにあわせた解決策が必要!

●眠りが浅い人は…1319人

●長い時間寝ても疲れがとれない人は…1135人

●夜中、何度も目が覚める人は…1094人

●寝起きが悪く、スッキリと目覚められない人は…1054人

●起きると肩や腰に痛みを感じる人は…1024人

●寝付きが悪い人は…950人

●トイレが近い人は…737人

●いびきをかいたり、寝言を言う人は…442人

●家族のいびき、寝言がうるさい人は…373人

●その他…209

科学的分析で見えてきた「夏の睡眠」の理想型

★朝の日光浴と就寝前の暗闇が上質な眠りに導く

 光の刺激で分泌されるセロトニンは、約14~16時間後に眠気をもたらすメラトニンへと切り変わる。

 つまり、朝の日光が夜の眠気を導くのだが、夜間にスマホや電灯など強い光を浴びるとその働きが抑制されてしまう。日が長い夏は“暗い夜”を意識して過ごすことが大切。

★体温が下がる瞬間が眠りのビッグチャンス

 ヒトのサーカディアンリズム(体内時計)では、体温が下がるときに眠気が訪れる。気温が高く、深部体温が下がりにくい夏こそあえて体温を上げてから下げることでいい入眠を作れる。

★「眠りの周期は90分」は間違い! 自分のサイクルを見定めて

 眠りにつくと、はじめの3時間に深い眠り(ノンレム睡眠)に入り、その後一定の周期で、浅い眠り(レム睡眠)を繰り返す。深い眠りができればぐっすり眠れたことになるが、老年期は浅くて短いため、眠りが長続きしない。

 深い眠りと浅い眠りの周期は90分といわれるが、実際は50~120分と個人差が大きい。90分周期にとらわれ、深い睡眠のときに目覚ましをセットしている可能性も。周期を計測する睡眠計やアプリを使って自分のサイクルを把握すれば、スッキリ目覚められる。

★暑くて眠れないのは自律神経の乱れのせいだった

 自律神経とは、心拍や代謝といった体の機能を24時間体制で調整する神経のこと。昼間は交感神経が優位になり、心拍数や血圧を上げて体を緊張状態にさせる。夜間は副交感神経が優位になり、体も脳もスリープモードに。

 しかし、夜でも汗をかくと交感神経が優位になるので、目が冴えてしまう。そのため、熱帯夜には睡眠のバランスが崩れやすいのだ。

質の悪い眠りなら起き上がって活動した方が◎

 なかなか寝付けないし、一度トイレに起きると目が冴えて全然眠れない。おかげで日中はずっと眠いまま──

 加齢とともに増える睡眠の悩み。夏の暑さによる寝苦しさも相まって「眠れない夜」を過ごしている人は少なくない。

「寝付きが悪い人や眠りが浅い人は、寝床にいる時間を短くすることでその症状が改善されるケースが多々あります」

 そう話すのは快眠セラピストの三橋美穂さんだ。

「実は“眠るのにも体力がいる”といわれ、人間に必要な睡眠時間は加齢とともに短くなっていきます。厚生労働省の指針でも、65才で6時間睡眠が目安。質の悪い睡眠を無理やり続けて疲れが残るくらいなら、起き上がって活動をした方が元気でいられますよ」(三橋さん)

リモートワークも睡眠に悪影響を与えている

 加えてコロナ禍での新しい生活様式が睡眠に悪影響を及ぼしていることも。疲労回復の専門家・福田英宏さんは言う。

「リモートワークが推奨され、毎朝、通勤時間に日光を浴びなくなりましたよね。本来、午前中に日光を浴びていれば、『セロトニン』というホルモンが分泌されます。セロトニンは夜の眠気を作る『メラトニン』に変わるのですが、セロトニンが足りていないために、眠るためのメラトニンも慢性的に不足しているんです。より良い睡眠のためには、窓越しでもいいので毎朝30分程度日光を浴びることが大切です」(福田さん)

湯船に浸かった方が深い睡眠になりやすい

 1年の中でいちばん寝苦しいこの時期、快眠を得るためにできることは?

「シャワーで済まさず、湯船に浸かることがおすすめ。深部体温が上がって下がるというリズムを作ると深い睡眠になりやすいですよ」(福田さん)

教えてくれた人

三橋美穂さん/快眠セラピスト

これまで1万人以上の眠りの悩みを解決してきた。著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)ほか。

福田英宏さん/疲労回復の専門家

プロアスリートをはじめとするスポーツ選手、チームに「リカバリー理論」を指導するほか、疲労回復に着目した商品開発のサポートを行っている。

イラスト/サヲリブラウン 取材・文/辻本幸路

※女性セブン2022年8月4日号
https://josei7.com/

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