「前開きブラジャー」がシニアや介護が必要な人におすすめの理由を下着のプロが解説
最近、若い頃につけていたブラジャーだと締め付けを感じるようになったR60記者。後ろのホックを閉めるのがつらいときも…。最近、ユニクロやプライベートブランドから前開きブラジャーが登場していて以前から気になっていた記者が、下着の専門家に話を聞いた。
前開きブラジャーとは?
「前開きブラジャーには、ワイヤー入りのおしゃれデザインのものから、ワイヤーなしの柔らかい素材のものまであります。シニア世代や介護が必要な方には、後者がおすすめです」
こう語るのは、これまで若い世代から中高年の女性まで1000人以上のインナーのフィッティングを手がけてきた、インナーウエアコンサルタントのおぬまともこさんだ。
「前開きブラジャー(以下、前開きブラ)は、フロントホックブラともいって、前側に止めホックがあるタイプのブラジャーです。後ろにホックがある一般的なブラジャーやスポーツブラなどに比べて、着脱がしやすいのが特徴です。
年齢を重ねると肌がやわらかく敏感になってくる方もいて、背中のホックが肌にあたるのが気になるという人もいらっしゃいます。前開きブラには、肌触りのいい柔らかい素材のものや、着用感がラクなものが多いので、とくにシニア世代にはおすすめですよ」(おぬまさん、以下同)
介護が必要な人やシニア世代におすすめの理由
ノンワイヤーの前開きブラは、シニア世代や介護が必要な人にもおすすめの理由は、どこにあるのだろうか?
「たとえば、肩や腕の痛みがあり後ろのホックに手が届きにくい方は、着脱がラクにできます。また、洋服や下着の着脱に介助が必要な場合、前側が開くので脱ぎ着をさせやすいということもあります。
乳がんなどの手術後のきずが痛む方、皮膚が過敏な方、腕が動かしにくいといった方のことを配慮して作られた前開きブラもあります」
前開きブラのメリットとデメリット
「前開きブラは、後ろホックのブラに比べて締めつけ感が少なく、着け心地のいいタイプが多いため、リラックス感はあります。
一方、バストとバストの間にホックがあるので、しっかりした素材でつながっている後ろホックブラジャーと比較すると、バストが左右に離れやすいというデメリットもあります。
また、フロントホックは、アンダーサイズの調節ができないので補整力が弱いため、バストをしっかり寄せてボリュームを出したい場合には、あまり適していません。
<メリット>
・着脱しやすく、入院時や健康診断や検診のときに便利。
・背中にホックがないので肌ざわりがやさしい。
・素材や形状によってはリラックスできる。
<デメリット>
・バストが左右に離れやすく、ボリュームを出しにくい。
・補整力のあるブラは少ない。
前開きブラとナイトブラの違いは?
素材が柔らかいタイプの前開きブラは、就寝時に着用するナイトブラとしても使えるのだろうか?
「ナイトブラは、横になったときに動くバストをやさしく包み込み、バストへの負担を軽減し熟睡するために着用するものです。
前開きブラは、ナイトブラのように横になったときにバストが流れたり広がったりするのを防ぐバストを包み込む機能はないため、ワイヤーがないリラックスできるタイプだとしても、就寝時に着用するのはおすすめしません」
前開きブラには可愛いデザインも多い
前開きブラというとシンプルなデザインのものが多いように感じるが…。
「前開きブラには、肌触りや着脱を重視したものだけでなく、スポーティーなタイプ、女性らしいレースがついたものまで、さまざまなデザインが揃っています」
ちなみに、記者の知人の介護ヘルパーさんは、「デイサービスに通う90代の女性が、入浴介助されるときにオシャレなデザインのブラジャーをしたい」という理由から、3か月に1度は、下着の買い物の付き添いをしているとか。
この高齢女性はいつも、フリルがついた可愛いデザインのブラジャーを嬉しそうに試着して買っているという。
「ブラジャーも洋服と一緒でオシャレなものを身に着けることで若々しさを保つことができると思います。高齢の方には、前ホックは着脱がしやすいことが最大のメリットですが、レース使いで女性らしいデザインが豊富なところも魅力のひとつです。
前開きブラは生地が厚いというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、生地が薄いものや、肌ざわりがサラリとしたものがありますので、夏でも快適に着用できます」
前開きブラの正しい付け方は?
「肩ひもに腕を通し、前かがみになってバストを持ち上げるようにして入れ、胸の前でホックを止めます。
止め部分も、ホックタイプ、スナップタイプ、面テープタイプなどありますので、ニーズに合わせて使い心地のいいものを選んでください。
できれば、試着してから購入することをおすすめしています」
シニアにおすすめの前開きブラジャ4選
おぬまさんのアドバイスをもとに、編集部おすすめの前開きブラジャーを紹介する。
グラッピー フロントホックブラ ノンワイヤーブラ:ワコール
大きめのフロントホックで着脱しやすい。カップ下からバック部分にストレッチ性があり圧迫感を軽減するなど、年齢の体型変化に対応した独自のパターン設計。カラーも豊富でおしゃれを楽しみたいシニアにおすすめ。
価格:7590円~
https://store.wacoal.jp/disp/01_BHK155.html
シンプル前開きブラ:フリープ
肌側が綿100%で肌触りがよく、バストラインもきれいな前開きブラ。飽きのこないシンプル設計で、タグが外付けなので肌にもやさしい。
価格:3410円~
https://www.fleep-webshop.com/c/underwear/front/81052
メディキュア 前あきハーフトップ:グンゼ
乳がんなどの手術を経験した人にも愛用されている肌にやさしい素材。大きめのスナップボタンで留め外しが簡単。胸元は花のようなカッティング。カップ部分に縫い目がないので肌への刺激が軽減されている。
価格:3300円
https://www.medicure-gunze.com/item/halftop.html
エアリズム前あきブラ:ユニクロ
快適なエアリズム素材。前開きで着脱しやすく肌触りはサラリとしている。通院や入院、介護が必要な人へおすすめ。カラーもパステルカラーと爽やかで、XS~XXŁサイズまである。
価格:1990円
https://www.uniqlo.com/jp/ja/women/innerwear/front-open
※医療用ケアとして使用する際は、主治医、病院のアドバイスに従ってください。介護を受けている方は、購入前にケアスタッフなどにご相談ください。
教えてくれた人
インナーウエアコンサルタント・おぬまともこさん下着メーカーにて18年間下着インストラクターとして勤務後独立。40代以上の 女性向けに健康的でラクで美しくなれる下着を紹介している。著書に『10歳若返るインナーの魔法!』(さくら舎)などがある。ウェブサイト『40代から健康に美しくなる下着活用』を運営。http://lake-let.com
取材・文/本上夕貴
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