「糖質制限」は体と脳に悪影響のリスク 積極的に食べたい「最強の炭水化物」ランキング【専門家20人が回答】

「最強の炭水化物」1位の玄米、2位の雑穀米とトップ2を飾ったのは私たちが古来、主食としてきたお米だ。白米や麦ご飯も比較的上位にランクインしている。

「玄米」に一票を投じたトータルフード代表の小倉朋子さんが解説する。

「玄米の魅力は、何といっても食物繊維の量がダントツに多いこと。腸内環境の調整や血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、さまざまな効果が期待できます。食物繊維と同じくふんだんに含まれる『カリウム』には体内の余分な塩分を排出する効果があり、高血圧の予防や改善にもつながります。さらに代謝を促し免疫力を高めるビタミンB1やB2、マグネシウムも多く含まれており、“スーパーフード”と言って差し支えないでしょう」

 1日3食を白米から玄米に置き換えれば、5g多く食物繊維を摂取できる。主食として頻繁に取り入れたい一品だ。ただし、購入時には注意も必要だ。医学博士の福田千晶さんが説明する。

「白米に精製される過程で除去されてしまう表面のぬかや胚芽には栄養素が豊富な半面、農薬が残ってしまうことがあります。玄米を選ぶ際は表示をしっかり確認し、農薬残留検査を行っているものを選ぶようにしましょう」

 2位の「雑穀米」を選んだイシハラクリニック副院長の石原新菜さんは、年を重ねた女性にこそ推奨したいと主張する。

「女性は高齢になるとホルモンの分泌量が減ることで骨や歯がもろくなります。雑穀米に含まれる赤米や大豆、小豆、アマランサス、ごま、ひえといった多様な食材には、骨や歯を強化する働きがあるカルシウムやマグネシウム、リンといった成分が多く含まれており、老化対策につながります。強い抗酸化作用を持つアントシアニンを多く含む黒豆が入っているのもうれしいポイントです」

 血糖値を上げやすいとされる「白米」も6位にランクイン。食べ方に注意すれば強い味方になる。

「確かに白米は食後血糖値の上昇を招きますが、それはご飯単体で食べた場合です。みそ汁やおかずと一緒に味わえば、急激に上昇することはありません。玄米に比べて食物繊維やミネラルは少ないものの、有害物質を含まないという意味では体への負担は少なく、手軽に手に入るのもいい。実際に私が栄養指導してきた7000人の中で、白米の食べすぎで肥満になった人は3人しかいませんでした」(伊達さん)

 文教大学健康栄養学部教授で管理栄養士の笠岡誠一さんが推奨する食べ方は、「冷やご飯」だ。

「炊きたてのご飯ではなく、あえて少し冷ますことで糖質の一種でありながら食物繊維と同様の働きを持つ『レジスタントスターチ』と呼ばれる成分が増えます。つまり、白米を冷やして食べることで腸内環境が整い、やせやすい体になるということ。食物繊維が不足していると感じたら、ご飯を冷やしてから食べてみて」(笠岡さん)

 お米とともに日本人に長く愛されてきた「そば」もベスト5に食い込んだが、その理由は含有する独自の成分にあった。小倉さんが解説する。

「穀物の中ではそばだけが含む『ルチン』と呼ばれる成分には、毛細血管に弾力を与えて強化する働きがあります。血流を促し、血圧を下げる効果も期待できるため、脳卒中や動脈硬化の予防にも効果的だといわれています。ビタミンCの吸収を促進する働きもあるので、レモンやすだちを搾って一緒に摂るのもおすすめです」

 伊達さんはそばの中でも「天ぷらそば」を推奨する。

「ただし、そばはお米と比べると腹持ちが悪いため、魚介やちくわ、鶏の天ぷらなど、動物性たんぱく質と一緒に食べることを推奨します」(伊達さん)

“オートミール”は万能食品

 糖質の含有量が多くハイカロリーな食品が多いはずのいも類も、さつまいもを筆頭に健闘が光る。管理栄養士の磯村優貴恵さんはさつまいもの汎用性の高さを評価する。

「おかずにもスイーツにもなるうえ、皮ごと食べれば食物繊維をしっかり補給できます。その他の栄養素も豊富に含まれており、特にカリウムの量はバナナを上回りますし、ビタミンCもたっぷり含まれている。確かにカロリーは低くありませんが、満足感と腹持ちは炭水化物の中でもトップクラスです」(磯村さん)

 管理栄養士の清水加奈子さんは10位の「長いも」に一票を投じた。

「『アミラーゼ』と呼ばれる分解酵素がたっぷり入っていることがその理由です。消化しやすく胃もたれしにくいため、食欲のないときにもおすすめです。いも類の中でも特に食物繊維が豊富なところもポイント。血糖値の上昇を緩やかにしてくれます」(清水さん)

 量は少ないものの炭水化物を含有し、腹持ちがいい「しらたき」などこんにゃくいもが原料の食品もランクイン。麺と置き換えるなど、主食としても活用したい。いも類と並んで食物繊維の含有量に専門家たちが熱い視線を注いだのは4位の「オートミール」だ。

 管理栄養士の中沢るみさんが解説する。

「食物繊維の量は白米の20倍といわれており、とにかく量が多い。加えて、食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、オートミールにはその両方が入っている。腸内環境を整えるにはうってつけの食材です」

 佐々木さんはその使い勝手のよさに一票を投じた。

「お茶漬けや雑炊、チャーハンなどさまざまなアレンジレシピがあるうえ、電子レンジでも調理可能。主食としてはもちろん、シリアル類やフルーツと混ぜてヨーグルトと一緒に食べるのもおすすめです」(佐々木さん)

※女性セブン2022年5月26日号
https://josei7.com/

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