遠くのものが二重に見えるのは”サギングアイ症候群”かも セルフチェック法と症状、治療法【医師解説】
メカニズムが明らかになったことにより、病気の名前も広く認識され、2021年度より研修医のテキストにも掲載されるようになった。梶田さんは発症率が大きく上がるのは40代からだと話す。
「白内障や網膜剝離（はくり）の手術など、眼球にメスを入れて、内容積が変わるような手術をした人がなりやすいともいわれています。プリーがあることでうまく保たれていた眼球のバランスが手術によって微妙に変わったり、重力の影響でプリーが萎縮していくことにより、目の動きがぎこちなくなってしまうことが理由です。一方でレーシックのような角膜だけに影響がある手術は、サギングアイの原因にはなりづらい」（梶田さん）
また、『ガッテン！』の番組内ではプリーの構成物が女性ホルモンと関係しているために女性が発症しやすいというデータを紹介していたが、梶田さんによると、病院を訪れる患者にあまり男女差はないそうだ。
「当院には男性も女性と同じくらい症状を訴えて来院します。特にスマホの普及やテレワークの拡充で、目に違和感を覚えるようになって症状に気づく人も少なくありません。早期に発見できれば症状も軽く、事故につながることも回避できるため、性別を問わず気になったら病院に足を運んでほしい」（梶田さん）
あなたは大丈夫？ まずは片目ずつ見てセルフチェック
もし、サギングアイの疑いがあるなら、すぐに病院へ相談に行くべきだが、疲れ目や老眼など、ほかの目の不調である可能性もある。どう見分けるべきなのか。サギングアイ用の眼鏡を扱う『Glass Factory』ヒルトン梅田店の佐野亮介さんによると、セルフチェック方法があるという。
「5mほど離れたものをまずは両目で見て、その後、片方ずつ目を隠して見ます。それらの見え方に違いがあるかどうかチェックしてください。両目で見たら二重にぶれているものが、片目を閉じるときれいにくっきり見える場合は、サギングアイの可能性がある。
単なる疲れ目なら遠くのものも近くのものも同様にかすんだり、ぼやけて見えます。老眼の場合、近くのものはぼやけても、遠方はくっきり見える。また、両目と片目で見え方が大きく変わるということは、ほぼありません」（佐野さん）
左右の目それぞれに何が映っているのかということにも注目してほしい。
「ずっと同じ方角を見ているにもかかわらず、片目ずつ開いたときにそれぞれ別の風景が見えるなら、プリーの減少によって眼球が別の方向を向いてしまっていることになる。こうなると、確実にサギングアイを発症しているといえます。ただし、疲れているときは無意識に視線があちこちに飛んでしまうこともあるため、時間帯や状況、場所などを変えて何度か試してみてください」（梶田さん）
