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健康

老けない体を作る”腎臓”にいい食べ方「加工肉やラーメンの添加物をカットする調理法」

“人生100年時代を生き抜くカギは、腎臓にある”。今、医学界ではこんな新説が注目を集めている。健康な体のためには、「腎臓力」を上げることが必須だが、「気をつけてほしいのは、腎機能を低下させるリンの過剰摂取」だと、専門家は語る。腎臓にいい食べ方について、詳しく聞いた。

 自治医科大学抗加齢医学研究部教授の黒尾誠さんによると、

「『尿を作り、排出する器官』として認識されている腎臓ですが、実は体内の栄養状態を一定に保つ役割も果たしています。私たちの体には、食べ物を通して水分や塩分、カルシウムやリンといったさまざまな成分が入ってきますが、その内容や量は毎日異なります。

 腎臓はこれらのバランスに目を光らせ、必要な栄養素だけを体内に残し不要な物質は体外に排出して常に過不足のない状態を保てるよう、コントロールしている。この機能を維持できるかどうかで、年を重ねても健康でいられるかが決まるのです」

 腎臓が最大限のパフォーマンスを実現できる食材の代表は、体内に残留した余分な塩分や水分を排出する効果を持ち、腎臓の働きを助ける「カリウム」を豊富に含有する、海藻やいちご、キウイ、バナナや山いもなどだ。

→「腎臓力」を高める“最強食品”ランキング「カリウムの摂取が大切」【専門家22人が回答】

 しかし、いくら「最強の食品」を取り入れたとしても、普段食べている食品に偏りがあれば、効果が半減するケースもあるという。

リンの過剰摂取に注意「ラーメンよりもパスタを」

「特に気をつけてほしいのは、腎機能を低下させるリンの過剰摂取です。リンはあらゆる食材に含まれており、においも味も色もないため、現代人は無意識のうちに大量に摂ってしまっていることが多いのです」(黒尾さん)

 ただし、リンを含有するすべての食品が腎機能を低下させるというわけではない。

 まず押さえておきたいのは、リンには肉や魚、大豆など、たんぱく質の多い食品に含まれる『有機リン』と、ソーセージやインスタント麺などの加工食品の食品添加物が含有する『無機リン』の2種類が存在するということ。

「有機リンよりも無機リンの方が体内への吸収率が高いため、減らすべきは添加物に含まれる無機リンの摂取量です。

 そのためには、ソーセージよりも生ハム、プロセスチーズよりもナチュラルチーズというように、添加物が少ないものを選ぶといい。特にラーメンのかんすいにはかなりの量のリンが含まれているため、麺類を食べる場合はかんすいを使わないパスタを選びましょう」(黒尾さん)

 なかでもファストフードやスナック菓子などの超加工食品に添加物として含まれるリンは体内吸収率がもっとも高いとされ、90%以上が吸収される。摂取頻度を下げることは必須だろう。

食べ方や調理法で無機リンは減らせる

 食品選びだけでなく、食べ方によってはリンを減らせる場合もある。

ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉は調理前に熱湯に10秒ほどくぐらせることで添加物を大幅に落とせます。インスタントラーメンは麺をゆでるお湯とスープを作るお湯を別にすることでも、添加物をカットできる。

 また、豆腐や納豆などの大豆食品が豊富に含有するマグネシウムや、かきやレバーに含まれる亜鉛は、リンの吸収を抑制する働きがあるため、積極的に摂りたい。特に植物性食品由来のたんぱく質に含まれているリンは、動物性のものと比較して吸収率が悪く、ほとんどそのまま排出される。その点でも大豆製品はおすすめです」(黒尾さん)

■リンを多く含む食品一覧

【有機リン】

牛乳、ヨーグルト、卵、たらこ、イクラ、大豆食品、どじょう、ししゃも、まぐろ、しらす、するめ、豚レバー

【無機リン】

ソーセージ、ハム、ベーコン、練り物、ポテトチップス、インスタント麺、プロセスチーズ

 気をつけるべきは体内吸収率90%の無機リン。お湯をかけることで軽減できるため、調理時に工夫したい。もちろん有機リンも極端な摂りすぎは注意すべきだが、植物性たんぱく質が含有するリンは例外。ほとんど吸収されない。

元気な腎臓を保ち老化を防ぐコツ

 腎臓における血液のろ過装置であるネフロンの数は加齢に伴って減少することが明らかになっており、60代を超えれば20代の半分にまで減ってしまうという。

 年齢を重ねたら、積極的に食生活を改善することが元気な腎臓を保ち、老化を防ぐことにつながる。特に腎臓は一旦機能が低下すれば、元に戻りづらい。さらに日常生活を送るうえでもさまざまな制限が課せられることになるため、日々のケアを徹底したい。

 管理栄養士の前田あきこさんが解説する。

「一度腎臓病になってしまうと塩分やたんぱく質をはじめ、食事内容に大幅な制限がかかるうえ、“腎臓によい”とされているカリウムの摂取にも注意が必要になる。腎臓に障害があると、カリウムを充分に排泄しづらくなり、体内に蓄積してしまうことがあるのです。

 一方で、病気にかかっていないのに“予防になるから”と自己判断で糖質制限や脂質制限、たんぱく質制限などを行い、エネルギー不足に陥って腎臓に負担をかけているケースも少なくありません。まずは自分の体の状態をしっかり把握して、必要な栄養素を確認するところから始めてほしい」

 肝臓と同じく、“沈黙の臓器”といわれる腎臓をいたわって、老けない体をつくりたい。

※女性セブン2022年3月24日号
https://josei7.com/

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