健康

酒の適量は「ビール中瓶1本、チューハイ350ml缶1本」少ないと嘆かず週の総量で調整を【医師監修】

 長引くコロナ禍の影響で、家で飲むことが定番になった人も多い。誰の目も気にせず、好きなだけ飲めるのでリラックスできるのが良いところだ。しかし、「飲むペースを忘れて、酒に呑まれてしまった」「ついつい深酒してしまう」という声も多く聞かれる。そこで、お酒好きな医師が、あらゆるアルコール飲料の“適量”を教えます。

Q.医学的にみた、飲酒の“適量”は?

A.「純アルコール量」で1日20g程度

「純アルコール量」とは、酒に含まれるエタノールの量を指す。厚生労働省の指標には『節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコールで20g程度の飲酒』とされている。酒の種類によって、純アルコール量も異なる。下の表を見ていただきたい。

「純アルコール換算」の項目を見ると、「純アルコール量20g」は「ビール中瓶1本」「チューハイ(7%)レギュラー缶1本(350ml)」「ウイスキーダブル水割り1杯」などに相当。

 つまりは、チューハイレギュラー缶1本で1日の適量を満たしてしまう。それはさすがに少ないのでは、と思うかたもいるだろう。が、「そんなときは1週間の総量でやりくりするといい」と肝臓専門医でアッヴィ合同会社所属の浅部伸一さんは言う。

「1日の適量である純アルコール量20gを週7日に換算すれば140g。休肝日をもうければメリハリがつき、多く飲んでもいい日もできる。そういう工夫をすれば健康で楽しく飲み続けられます」

 ただし、「1か月飲んでいないから、今日はとことん飲むぞ」というような飲み方は×。“まとめ飲み”は体への負担がかえって大きくなるからだ。また、飲むペースを落とす心がけも重要だ。

「最近は、酒席でお酒を強要する慣習は減ってきていますが、飲みすぎかなと思ったら、そこがやめどき。もう1杯飲むと危ないかもという感覚は、ゆっくり飲めば気づけます。ピッチが速いといつの間にか限界点を超えたアルコールが体内に入ってしまい、時すでに遅し。そういう意味でも、スローペースをおすすめします。料理を味わいながらお酒を楽しみましょう」(浅部さん)

 厚生労働省は現在、「第二次健康日本21」というスローガンを掲げ、生活習慣病対策に取り組んでいる。前述のように純アルコール量が1日20g以上の飲酒に警鐘を鳴らしているが、

「あくまでもリスクの目安の数値で、そこまでなら飲んでいいという指針ではありません」(久里浜医療センター院長・樋口進さん)

 がんや高血圧、脳出血、脂質異常症など飲酒に関連する病気は、1日の平均飲酒量が増えるとともに危険性はほぼ直線的に上昇する。そのようなリスクも踏まえつつ、おいしく健康的に酒を飲み続けるためには、飲酒の正しい知識と実践が大切なのだ。

各酒類のドリンク換算表

 酒に含まれる純アルコール量に換算した飲酒量を「基準飲酒量」といい、単位は「ドリンク」。1ドリンクの純アルコール量は10gとなる。種類や量ごとの純アルコール量やドリンク数を覚えておくと、自分がいま、どれだけアルコールを摂取したのかを把握できる。表を持ち歩くのもおすすめだ。

種類/量/純アルコール換算(g)/ドリンク数

■ビール

コップ1杯(180ml)/7/0.7

中瓶(500ml)/20/2

大瓶(633ml)/25/2.5

レギュラー缶(350ml)/14/1.4

ロング缶(500ml)/20/2

中ジョッキ(320ml)/13/1.3

■日本酒(15%)

1合(180ml)/22/2.2

おちょこ(30ml)/4/0.4

■焼酎(20%)(25%)

(20%)1合(180ml)/29/2.9

(25%)1合(180ml)/36/3.6

■チューハイ(7%)

レギュラー缶(350ml)/20/2

ロング缶(500 ml)/28/2.8

中ジョッキ(400 ml) /18 /1.8

■チューハイ(9%)

レギュラー缶(350 ml)/25/2.5

ロング缶(500 ml)/36/3.6

中ジョッキ(400 ml) /23/2.3

■ワイン(12%)

ワイングラス(120 ml)/12/1.2

ハーフボトル(375 ml)/36/3.6

フルボトル(750 ml)/72/7.2

■ウイスキー(40%)

シングル水割り(原酒で30 ml)/10/1

ダブル水割り(原酒で60 ml)/20/2

ボトル1本(720 ml)/230/23

■梅酒(13%)

1合(180ml)/19/1.9

おちょこ(30ml)/3/0.3

出典/樋口進ほか(編)健康日本21推進のためのアルコール保健指導マニュアル 社会保険研究所,東京,2003

教えてくれた人

アッヴィ合同会社(自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授)浅部伸一さん

久里浜医療センター院長 樋口進さん

取材・文/藤岡加奈子

※女性セブン2022年2月3日号
https://josei7.com/

●コロナ禍で増える高血圧 医師がすすめる7つの対策「塩分よりも飲酒量に注意」

●飲酒習慣は7種類のがんを引き起こす!?自分のがんリスク因子を知っていますか? 

●肉を多く食べるor食べない、お酒飲むor飲まない…どっちが長寿?

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