デザートを食べるなら食後より3時のおやつがいい理由|ダイエット新常識
おやつは肥満のもとというメージだが、食べる時間を守れば血糖値の急上昇を防ぎ、ダイエットの味方になるという。一体何時が食べてもいい時間なのか? 研究結果を見ながら、詳しい情報を見ていこう。
デザートは食後より3時のおやつに
京都女子大学家政学部教授の今井佐恵子さんは、糖尿病患者を対象に「昼食に続けてビスケットを食べた場合」と「午後3時半にビスケットを食べた場合」で、1日の血糖値の推移がどう変わるかを比較した。
「前者のグループは血糖値が急上昇し、夕食後にはデザートを食べていないにもかかわらず、夕食の後も数値は高いままでした。
一方でおやつとして午後3時半にビスケットを食べたグループは夕食後も血糖値の上昇は緩やかだったのです」(今井さん)
同じデザートを食べるなら、「食後よりも3時のおやつ」が最終結論のようだ。
「“おやつは肥満のもと”と考えている人は多いですが、1日の食事回数が少ない人、朝食抜きの人の方が肥満度を示すBMIが高いという研究もあります。意識的に昼食と夕食の間に間食をする方がやせやすい体につながる。ただし、夜の間食は悪影響。たとえ時間を空けたとしても夕食後のスイーツは避けてください」(今井さん)
愛国学園短期大学非常勤講師で管理栄養士の古谷彰子さんも、1日の中でも夜に血糖値が急上昇することを危険視する。
食後のデザートは血糖値が急上昇する
今井さんが糖尿病患者を対象に行った実験の結果。食後のデザートとしてビスケットを食べたときよりもおやつとして食べた方が血糖値の上昇は緩やかになる。
「ただでさえ夜間は血糖値が上がりやすいといわれているうえ、体内が高血糖の状態のままだと、睡眠中に目が覚めてしまう“中途覚醒”を引き起こしやすくなり、良質な睡眠を得ることができません。その結果、二度寝や朝寝坊などで生活リズムが狂い、免疫力も低下する。
体内時計を整えて健康的な生活を過ごすには、おやつを食べてその分、夕食の糖質を減らすのが効果的です」(古谷さん)
血糖値の上昇が引き起こすのは肥満だけではない
「血糖値の急激な変動は血管にダメージを与えて動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。また、認知症との相関関係も指摘されています。高血糖の状態でインスリンの分泌量が増えると、本来ならば認知症の原因物質であるアミロイドβの分解をするために使用される酵素の働きがインスリンの分解で手いっぱいになり、アミロイドβが脳に蓄積してしまう。血糖値の急上昇は万病のもとなのです」(今井さん)
血糖値の急上昇は皮膚にも直接的なダメージを与える。
「高血糖の状態が続くと、体内で糖とたんぱく質や脂肪が結びつき、『AGEs』という物質が生成される。この成分は体を老化させ、血管や皮膚など組織の機能を低下させる厄介な存在です。肌のシミやしわ、たるみ、くすみなどの原因ともいわれており、血糖値のコントロールは美しい肌を保つためにも欠かせません。美容の面でもとても大切なのです」(今井さん)
間食で得られるメリットは身体面以外にも
「おやつには抗ストレス効果もある。小腹が空いたときに好きなスナックや甘いものをつまむと、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンや、神経伝達物質のドーパミンが分泌されます。私たちの祖先は食糧難や餓えに耐えて生き残ってきたため、血糖値を上げて生命を維持することには本能的な快感や満足感が伴うのです。ただし、一度にたくさん食べすぎるなど、摂り方を間違えれば逆効果に。血糖値の乱高下によりだるさや眠気に襲われます」(今井さん)
教えてくれた人
古谷彰子さん/愛国学園短期大学非常勤講師・管理栄養士、今井佐恵子さん/京都女子大学家政学部教授
※女性セブン2022年1月20・27日号
https://josei7.com/
●食事の2時間前のおやつがダイエットにいい理由「セカンドミール効果」を専門家が解説