冬は要注意 の「早朝高血圧」と「仮面高血圧」 60代記者が気になる血圧の話
現在薬を服用中の高齢の母の高血圧も心配だ。介護が必要な人にとって、日常で注意すべきことはあるだろうか?
「血圧は、常に変動しています。高血圧だけを注意するのではなく、高齢者はとくに低血圧の症状にも注意が必要です」
高齢者がとくに注意すべき「起立性低血圧」
「日常生活では、排便や、寒さ、ストレスなどで血圧が上昇します。一方、飲酒や入浴、立ち上がるとき、睡眠時などは、血圧が低下します。
とくに高齢者が注意したいのが、立ち上がるときに血圧が低下する『起立性低血圧』や、食後30~60分をピークとして血圧が低下する『食後性低血圧』が起こりやすくなることです。
これらはめまい、ふらつきなどが起こりやすくなり、ひどい場合は失神や転倒につながる場合もあります。
普段はベッドに寝ていることが多い要介護の高齢者が、食事や排せつなどで身体を起こしたときなどに、血圧低下のリスクがあります」
入浴時など血圧の変動に注意
「入浴の際は血圧の変動を避けるため、入浴時の脱衣場や浴室全体を暖かくすることが重要です。
また、お湯の温度は39~40度で10~15分の入浴が安全と考えられています。入浴後は血圧が低下することが多いため、姿勢を変えるときなどには注意が必要です」
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土橋さんによると、高血圧はサイレント・キラーとも呼ばれるという。
「無症状の段階から管理することが健康長寿の秘訣。日頃から血圧に注意する生活を継続してほしいですね」
記者も60代になったことを機に、家で正しく血圧測定をし、減塩食を採り入れるなどして生活習慣を見直していきたい。より良い介護を続けるためにも、まずは自身の健康管理が大切だと再認識した。
※高血圧の症状、疾患については個人差があります。予防・治療法については、かかりつけ医などの医療機関へご相談ください。
教えてくれた人
社会医療法人製鉄記念八幡病院 理事長・土橋卓也さん
1980年、九州大学医学部卒業、同第二内科入局。米国クリーブランドクリニック研究員、九州大学総合診療部助教授、国立病院機構九州医療センター高血圧内科科長などを歴任し、2015年より現職。日本高血圧協会理事、高血圧治療ガイドライン(2019)作成委員。テレビ番組への出演や執筆活動など で「高血圧予防の推進」に努めている。
取材・文/本上夕貴
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