冬は要注意 の「早朝高血圧」と「仮面高血圧」 60代記者が気になる血圧の話
また、最近注目されているのが、“仮面高血圧”だという。
「『仮面高血圧』は、病院で測ると血圧は良好でも、家庭や職場など病院外で測定すると血圧が高いというものです。仮面高血圧の方は、脳卒中などの発症リスクが高いことがわかっています。
病院での血圧は良好だからといって放置しておくと、気づかないうちに高血圧に伴う血管病変(動脈硬化)や腎障害が進行する恐れがあります。
予防や治療を医師任せにせず、家庭でも自分で血圧を測定して医師に報告し、二人三脚で管理することがポイントです」
血圧管理は早い段階から対策を
「中高年の高血圧は、脳卒中や心臓病などはもとより、認知症、とくに血管性認知症のリスク要因となることが明らかとなっています。多くの高血圧患者さんは無症状のため、受診が遅れがちで、治療に対しも消極的なんです」
記者もいまのところとくに症状はないが、早速、生活の中で血圧対策をしていきたい。注意すべきポイントを土橋さんに教えてもらった。
高血圧予防のためのポイント3つ
1.毎日の食事で減塩を意識する
「食事では、減塩がもっとも重要です。高血圧の方は6g未満/日にしてください。和食は栄養バランスの取れた良い食事ですが、だしを利かせて塩、みそ、しょうゆなどの調味料を少なくしたり、減塩調味料を利用することがコツといえます。
野菜や果物などカリウムを多く含む食品も血圧を下げる効果が期待できますので、積極的に摂りましょう」
ちなみに、塩はひとつまみが約1g相当なので、1日6g未満を目指すとなると大変なようだが、調理の工夫次第とのこと。
たとえば、カレー1皿あたりの塩分量は約2gだが、減塩タイプのルーなども登場しているので、25%カットのルーなら、1.5gに抑えられる。
また、意外な食品の「隠れ塩分」にも注意してほしいと、土橋さんは語る。
「ハムやベーコンなどの加工食品は塩分が高いことはよく知られていますが、普段から食べるパンや牛乳にも塩分が含まれています」
食品のパッケージの栄養成分表示にある、「食塩相当量」を確認することも予防への第一歩だという。
実際、記者が今朝食べた食パンには、食塩相当量が0.7g、牛乳にはコップ1杯0.22gが含まれていた。
なお、日本高血圧学会のHPでは、「減塩のコツ」や無塩だしの作り方などを紹介する「簡単健康料理」の動画や美味しい減塩食品リストも公開している。毎日の食事の参考にしてほしい。
2.運動を心がけ肥満に注意する
運動を習慣化し、肥満に注意することも大事だという。
「運動は、毎日30分、または週3回、60分が目安です。ウオーキングや水泳などの有酸素運動が基本ですが、高齢者ではロコモ予防のため、筋トレも加えるとさらに有効です。
また、肥満の方は高血圧になりやすいので、適正体重の維持を心がけましょう。
肥満になると、体液量(心拍出量)の増加や様々なホルモンの影響による血管抵抗の上昇が血圧上昇の要因となるため、肥満度の基準となるBMI値※は25未満が理想的です」
※BMI=体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]
さらに、メタボリック症候群の診断基準の一つの項目として、血圧上昇(130/85mmHg以上)が含まれています。糖尿病や脂質異常症など他の生活習慣病も高血圧を合併しやすいため、健康診断などで指摘された人は、より注意が必要でしょう」
3.お酒やタバコに注意
「喫煙による血圧上昇は一過性ではありますが、高血圧による動脈硬化を促進します。動脈硬化を起こすと脳卒中、心臓病、認知症などのリスクが上昇するため、高血圧を予防するには、禁煙はとても重要です。
また、「飲酒は、ビールで中瓶1本程度、日本酒だと1合程度までが適量です。晩酌の習慣がある方は見直しておきましょう。
飲酒後は血圧が低下しやすくなりますが、翌朝には飲酒しないときに比べ血圧が上昇しやすくなるため、『早朝高血圧』に注意が必要です」