兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第125回 わたくしが楽をするために】
63歳の兄は若年性認知症で無職、一緒に暮らす妹はフリーランスのライター…。兄は穏やかな性格ですが、病状が進行し、不可解な行動も増えてきました。将来のこと、お金のこと、不安はつきません。そんな2人の暮らしを綴る連載エッセイ、今回は、ツガエさんの心持ちに少し変化があったというお話です。
「明るく、時にシュールに」、認知症を考えます。

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先人の流れに身を任せた介護をすればいい
人にはそれぞれ与えられた役割があって、わたくしは、たまたま大富豪の妻ではなく、50代から兄の介護をする貧乏ライターだったーーー。
そう受け入れてしまうと、「なぜわたくしがこんな…」と嘆き苦しむことがぐっと減りました。「筋書通り」なのですから介護もお手本通りに、自分の時間を増やしたかったらデイサービスの日を増やし、時にはショートステイを利用し、自分の手に負えなくなったら施設に入ってもらうという先人の流れに身を任せればいいと思えるようになったからです。
兄がそのとき何を思い、どんな気持ちになるかは兄にしかわからないことでございましょう。お金は兄のために使い切って、足りなくなったらそのときに考えればいい、と。ちょっと悟りの境地でございます。
そう思えたのは、お金を残したところで、子どものいない我ら兄妹のお金は国庫に