サントリーHD、オンライン診療システム活用で社員家族の健康維持目指す
サントリーホールディングス(以下、サントリーHD)は7月4日、社員の75才以上の家族に対して、家に居ながらにしてかかりつけ医の診療を受けられる、オンライン診療を今年の10月から取り入れることを発表した。
採用したのは、インテグリティ・ヘルスケアが開発して、全国の医療機関に提供している診療システム「YaDoc(ヤードック)」。「ヤードック」を導入した医療機関の患者であれば、スマホやタブレット端末などで医師とつながり、遠隔で診療を受けられる(※)。体重、血圧などの患者データを集積し、医師と患者やの双方向コミュニケーションを深めながら、診療の質の向上をはかるというものだ。
※オンライン診療は医師が可能と判断した場合に利用が可能。原則として、初診は対面で行う必要がある。
サントリーHD社員が毎年10名介護離職するという現実
会見したサントリーHDの新浪剛史社長は、「社内アンケート調査の結果、介護への不安を持つ社員は9割。介護離職する社員が毎年、10人いるという現実が見えてきました。社員が心身ともに健康でイキイキと働くことは企業としての競争力の源泉です。さらに魅力的な企業であるために社員の家族の未病・重症化予防を目指したい」と述べた。
いっぽう、インテグリティ・ヘルスケアの会長でもある武藤真祐医師は、オンライン医療システム開発の原点を、「医師として、幸福な死と、そうでない死について考え続けてきた結果」と語る。
「健康に対して危機意識の少ない未受診者が、重病化してから私たちの前に現れ、『あの時、ちゃんと診断を受けていれば…』と後悔の言葉を残しながら亡くなっていく。そんな残念な死を少しでもなくせないか。誰もが医療とつながり安心して暮らせる社会にするには何が必要か」(武藤医師)
社員が楽しみながら健康づくりをするために
サントリーHDでは、40才未満の生活習慣病予備群社員に対しても、オンライン保健指導を開始する。
新浪社長は、「強制されて仕方なく健康指導を受けるのではなく、社員ひとりひとりが積極的に、楽しみながら参加できるような環境づくりが大切」と語る。
そのために2016年からさまざまな制度をつくってきた。
たとえばスマホ連動で、1日の歩数に応じたポイントが付き、貯まったポイントを健康食品などの賞品に交換できたりする制度や、健康合宿や各種のセミナーの開催。他にも全社員で、毎日就業時間の前や昼休みにラジオ体操を行っている。
「外国から来た社員は、最初は何が始まったのかとビックリして見ていますが、やってみると『これはいい』と参加するようになります」(新浪社長)
取材・文/野原広子
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