YouTubeが話題!”現代の陰陽師”橋本京明さんって?「陰陽師、かつては国家公務員だった」
陰陽師だった祖父の血と遺志を継ぎ、占いや除霊を行う橋本京明(きょうめい)さん。チャンネル登録者数約24万人の動画が話題で、鑑定予約は4か月待ちという人気ぶり。“現代の陰陽師”こと橋本京明さんとはどんな人なのか? そもそも陰陽師とは?お盆を目前に、墓参りの作法も教えてもらった。
現代の陰陽師・橋本京明さんの動画が話題
目に見えない“何か”が引き起こす不運・不調・不幸…。これらの原因を見極め、祓い清めることで、時に依頼人の命をも救う男がいる――それが“現代の陰陽師”こと橋本京明さんだ。
彼の目に映る霊とは? 危険はないのか? 実際にお会いした彼は、穏やかな笑みを浮かべながら自身に起きた真実を語ってくれた。
そこには誰もいない…ように私たちには見える。しかし、彼は明確に視点を定め、“その人”に話しかける。
「名前を教えて?」 「首を絞められたって?」 「それはいつのこと?」
東京・池袋で起きた未解決の殺人事件の真相を追う、あるYouTube動画には、いまは亡き女性の”霊”に話しかける男の活躍が捉えられていた。
それが、橋本京明さんだ。
橋本さんは、占い師として悩み相談や開運アドバイスを行っており、現在予約は4か月待ちだという。
その一方で、事務所には怪奇現象に悩む相談者が訪れることも多い。彼はそれらを解決すべく、直接現場を訪れ、そこに“居る”霊たちから話を聞いて情報を集め、真相を解明したり、除霊を行っているのだ。その様子は、YouTubeでつぶさに配信されており、話題となっている。
実際に記者がこの動画を見つけたときは、正直、胡散臭いと思った。
ところが、一度見始めると止まらない。続きが気になってのめり込むように見てしまう。巷でよく見かける心霊現象の検証動画などでは、何もない部屋で物音がするなど、大げさな演出をされているものが多いが、橋本さんの動画にそういった演出はない。
そもそも恐怖を与えるための動画ではないのだ。画面には彼が霊と接触するさまが淡々と映し出される。まさにドキュメンタリーだ。
さらに、霊と会話を重ねていくうちに、別の殺人事件が明らかになるなど、突拍子もない展開を見せる。時に、解決しきれないケースもあるのが、より真実味を感じさせる。
この人は一体何者なのか――興味をそそられ、私たちは実際に会いに行った。
陰陽師の家系に生まれた
そもそも、橋本さんの肩書である“陰陽師”とは何か。
『大辞泉』によれば、「陰陽寮に属し、占筮(せんぜい)・地相判定などを司る人」とのこと。
律令制下の7世紀後半頃から存在し、天文観測に基づく占星術を行使したり、暦作りなどを担った官職で、明治3(1870)年まで実在した。平安時代の代表的な陰陽師だった安倍晴明が活躍する小説などを通じて一般に知られるようになったため、架空の職業と思われがちだが、れっきとした“国家公務員”だ。
実際にお会いした橋本さんは、動画同様、落ち着いた口調で淡々と話す。
「私の祖父は、“源”の姓で陰陽師を担い、その後、一族は神社で神職を務めてきました。そのせいか、私も幼い頃から霊感が強く、この世のものではないものを見てきました。ですから、霊を怖いと思ったことは一度もありません」(橋本さん・以下同)
実家には、陰陽道に関する多くの書物が保管されており、それらを読み漁っては、占術や呪術などを学んだという。
精神的な強さを身につけたいと、18才から修験道の本山・金峯山寺や天台宗総本山の修行場・比叡山行院などで修行を始めた。31才まで厳しい修行を重ね、神職だけでなく、僧侶の資格も取得した。
「陰陽師の血を引いているので、“現代の陰陽師”と名乗っていますが、お祓い自体は、陰陽道の呪術や寺での修行で身につけた秘術などを駆使して行っています」
霊に穏やかに問いかけ、語りかける
橋本さんによれば、霊はどこにでもいるという。ただ、自分がいる場所からあまり遠くには行けないので、何か事件が起きたときに、その場に霊が“居た”場合、事件を見ている可能性が高い。だからこそ、霊に話を聞くようになったと話す。
私たちに接するときはもちろん、霊と話すときも、橋本さんの眼差しはやさしい。
穏やかに問いかけ、悪さをする霊にも子供に言って聞かせるように語りかける。時には、相手が望む水や食べ物なども供える。
「のどの渇きを訴える霊が多いので、現場を訪れる際は必ず水を持って行くようにしているんです」
霊の希望を叶える―それは情報を聞き出したいからだけでなく、生きている人間と同じように敬意を払っているからだろう。
「霊も元は人間だったのですから、誠実に対応し、できるだけ望みを聞くことを心がけています。生きている人間に悪い影響を与えている場合も、必ず事情があるはずなのです」
恐怖におびえる人だけでなく、伝えたいことがある霊をも助けたいと語る橋本さん。
先祖供養の作法「コロナ禍の墓参り」
コロナ禍で昨年はお盆の時期に墓参りに行けなかった、という人も多いのではないだろうか。
お盆やお彼岸に関係なく、墓参りは行けるときに何度でも行き、掃除をすることが、一族の繁栄や健康長寿のためには大切なことだと、橋本さんは言う。
「本来は、父方、母方両方の墓参りをすべきですが、このようなご時世でどうしても行けない場合は、父方(男性親族側)を優先しましょう。結婚している場合は、夫の父方の墓が最優先となります」(橋本さん・以下同)
自分で行けない場合は、専門業者などに頼んで、掃除だけでもするべきだという。
「特に、墓の入り口(墓石の前の石段)をきれいにしておくと金運が上がります。逆にその部分が汚れていると、体調を崩す可能性が高まります」
掃除の仕方にも橋本流の作法がある。墓石は手のひらで水をかけながら洗い、最後は天然水をかけながら清め、白いタオルで拭き上げるのがおすすめだという。
「墓石を人だと思ってきれいにすることが大切です」
墓参りや掃除は先祖を敬う行為だ。その行いは加護という形で救い上げてもらえるという。
今年のお盆は、例年より心を込めて墓参りをしてみてはいかがだろう。
教えてくれた人
占い師・”陰陽師” 橋本京明さん/福島県郡山市出身。陰陽師だった祖父の血と遺志を継ぎ、占いや除霊を行う。主な著書に『霊供養』(説話社)など。You Tube『陰陽師・橋本京明チャンネル』はチャンネル登録者数約24万人。
取材・文/岸並徹
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