橋の上を走行中に大地震!運転者がまずすべきこととその後の行動を専門家が解説
東日本大震災の際、地震によってなんらかの損傷を受けた橋は計611本(※)。幸いにも崩壊や落橋などの大きな被害はなく、阪神・淡路大震災以降、進められてきた橋の耐震化や耐震補強が功を奏したかたちとなった。とはいえ、いまだ耐震工事が未完な橋や古い橋など、次に大きな地震が発生した際、崩壊の恐れがある橋は全国に多数存在する。では、橋の上で被災した場合、どうすればいいのか?とどまっていると、橋の崩壊に巻きこまれて危険なので、急いで橋を渡りきった方がよさそうだが…。とるべき行動を専門家に教えてもらった。
※一般社団法人日本橋梁建設協会調べ
ハザードランプを点灯し、道路の左側に寄せて停車する
「揺れている最中の移動は、ハンドルが取られやすく、事故やほかの車から衝突される危険があります。橋のどの位置にいようが、橋の上を走行中に強い揺れを感じたら、まずはハザードランプを点灯させてゆっくりと減速し、道路の左側に寄せて停車すること。そして、車内で揺れが収まるまで待機しましょう」
と、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんは言う。
揺れが収まった後は…
揺れが収まったら、各状況に応じて、次の行動に移すことになる。
1.橋が倒壊、傾き始めている
その場にとどまると高い可能性で命を落とす。車を動かせるようであればそのまま渡りきる。車が渋滞していて動かせない、あるいは通過に時間がかかりそうな場合は、キーを付けたままの状態で車を降り、近い方の岸を目指して全力で逃げる。むやみに川に飛び込んだりしてはいけない。
2.一見すると橋に被害は出ておらず、傾きなども感じない
素人目には大丈夫でも、余震で倒壊や被害が出る可能性がある。車を移動させられるなら橋を渡りきり、渋滞していて身動きがとれないならキーを付けたままの状態で車を降り、近い方の岸へ避難する。
3.橋の安全が確認された
慌てて移動する必要はない。その場で情報収集をして、今後の行動方針を定めよう。
自転車の場合は…
また、徒歩や自転車で橋の上を通行中に被災した場合は、「橋から落下しない」「車からの衝突を避ける」の2つに注意すること。揺れが強い際は身を伏せたり、手すりなどにしっかり掴まって耐え、揺れが収まったら、周囲に気をつけながら、焦らず歩いて橋を渡りきろう。
教えてくれた人
備え・防災アドバイザーの高荷智也さん
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
女性セブン2020年5月20・27日号