猫が母になつきません 第248話「にらむ」
まだらはこのあたりで幅を利かせている野良猫。他の猫に会えば追い払い、スキあらば家の中まで入り込んでくる図太い奴。母がいろんなところを開けっ放しにするので何度もキャットフードを盗まれたり、家の中にマーキングされたり…。だから私はまだらを見かけると追い払うようにしていました。ある日のこと、猫たちとのんびり日向ぼっこをしているとシロが何かを気にし始め、そちらをよく見ると遠くの草むらからこちらをにらみつけているまだらの姿が。野良猫シロは私がいるので逃げなくても大丈夫と思っている様子です。まだらは私に気づかれても距離があるから大丈夫と思っているのか、微動だにせずじーっとこちらをにらみ続けています。静かな怒りのめらめらがまだらを包んでいました。私は「和気あいあいのグループ」対「にらみ続けるひとりぼっち」という構図に耐えきれずにまだらに声をかけましたが、それに応じるはずもなく、ただただにらみつづけている。あれは私だ…そんな気がしました。いつのまにか私はまだらになって、遠くからシロたちをじっとにらんでいました。
関連の回
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。