その体調不良…もしかして寒暖差疲労かも!?疲労の原因チェックリストと対策
Go Toキャンペーンでお出かする人も目立ってきたが、コロナ禍では、例年よりは家で過ごす時間は長くなっている昨今、いつもより寒暖差に体がついていかない人も。
風邪を引いたわけではないが、なんとなく体調不良…そう感じる人は、もしかしたら「寒暖差による疲労」が原因かもしれない。
「気温の寒暖差が大きいことにより、自律神経の機能が乱れ、体が疲れることを“寒暖差疲労”といいます」
こう語るのは、明治国際医療大学鍼灸学部学部長伊藤和憲先生だ。寒暖差で起こる体調不良の原因と対策について教えていただいた。
自律神経が乱れる原因って?
内臓の働きなどを調整してくれるのが自律神経だ。
「人は体温を調整する際、自律神経を使って、体を震わせることで筋肉を動かしたり、血管を収縮させ筋肉を硬くすることで体温を上げます。一方、汗をかくことで体温を下げる身体活動も行うため、それらの働きが1日の中で何度も切り替わると、自律神経が過剰に働き、疲労を誘発します。
エアコンで例えると、暖房と冷房を1日のうちに交互に何度も使用すると、エアコン本体に負担がかかるイメージです。寒暖差が大きい季節の変わり目に風邪を引いたり、体調を崩したりする人が多くなるのも、これが理由のひとつです。また、冬の時期に、暖房のきいた部屋から寒い屋外に出て、また暖房のきいた電車にのる、また寒い屋外に出る…、といった朝の光景も、体が寒暖差の影響を受けている状況のひとつと言えます」(伊藤先生、以下「」同)
自律神経が乱れることで不調に繋がるメカニズム
自律神経は交感神経と副交感神経からなり、それぞれの臓器に働きかける。
「いわばアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)の関係。この2つは臓器にとって異なる作用であることから、その都度働きを切り替えないといけませんが、本来は徐々に切り替えていくものです。しかしそれが1日の中で急激に、それも何度もアクセルとブレーキをかけると、臓器に多大な負担をかけてしまうため、それぞれの臓器に関係した様々な不調が現れることになります」
→自律神経とは?|乱れの原因、自律神経バランスのチェック、整える方法【まとめ】
寒暖差疲労の主な症状は?
寒暖差疲労の主な症状は以下の通り。
・肩こり、腰痛、頭痛
・めまい、不眠
・食欲不振、便秘、下痢
・イライラ、気分の変化
・冷え、むくみ
あなたの寒暖差疲労の原因をチェック!
寒暖差疲労の原因は普段の生活習慣や自律神経、筋肉量が関係している。以下A~Dの項目から該当する上位5つをチェック。最もチェック数が多いところが、あなたの疲労の原因だ。
Aの項目
□肩こりや腰痛がある
□イライラする、または気分の変化が激しい(ストレスがある)
□手足が冷えている
□不眠である(寝付きが悪い、眠りが浅いなど)
Bの項目
□便秘や下痢気味である
□起床就寝時間が不規則である
□食事時間が不規則である
□時々めまいがおきる
Cの項目
□3か月前に比べて体重が増加した
□両手の親指と人さし指でふくらはぎの一番太い部分がちょうど囲める
□階段を1階分上がるだけで息が上がる
Dの項目
□全身が冷えている
□1年前に比べて自然と体重が減った。または食が細くなった
□周りの人と暖房や冷房の温度が合わない
A~Dのチェックが済んだら、以下で症状タイプをチェック!
Aが多かった人→ストレスが強いタイプ
このタイプの人は、ストレスによって交感神経の反応が過多になり、筋肉が緊張し硬くなっている。筋肉は身体を温めるカイロの役割を担うため、筋肉をほぐし、汗をかきやすい身体作りをしよう。
対策【1】【3】【6】【7】を参照
Bが多かった人→生活習慣が乱れているタイプ
このタイプの人は、生活習慣の乱れによって、自律神経が不安定になっている。睡眠や食事、入浴などの生活リズムを一定にするように心がけることで、体内リズムを整えよう。
対策【1】【2】【5】【6】【7】を参照
Cが多かった人→運動量減少タイプ
このタイプの人は、運動不足により筋肉量が減少しているため、頻繁な体温調整が必要な状態だ。階段を利用したり、椅子に座らない時間を作るなど、1日15分程度は運動する時間を作ろう。
対策【1】【2】【3】【4】を参照
Dが多かった人→加齢タイプ
このタイプの人は、加齢によって運動習慣・栄養摂取の状況が悪いため、筋肉が増えにくい状態だ。たんぱく質など筋肉の原料となる食べ物を積極的に取ったうえで、1日15分は運動するようにしよう
対策【1】【2】【4】【7】を参照
家でできる寒暖差疲労対策
【1】 身体の局所を温める
筋肉や内臓を温め、深部体温を上げることで、自律神経を整えよう!
特に四肢や背骨の周囲は自律神経の関連の不快神経があり、働きを強める。
A. ストレスが強いタイプ
・手首や足首周囲、顔面をカイロやホットタオルなどで温める
・緊張しているときや、寝る前などリラックスしたいときに温める(特に若い人におすすめ)
B. 生活習慣が乱れているタイプ
・お腹、腰部にカイロを貼る
・カイロの温度でリズムを作ることが大切で、朝と寝る前など定期的に貼る
C. 運動量減少タイプ
・血管が表面近くにある、首元、肩甲間部、内ももにカイロを貼る
・朝や寝る前など、身体が冷えているときに貼る(運動の際は外す)
D. 加齢タイプ
・背骨から1.5ー3.0cm脇、痛かったり冷えている箇所を中心にお灸やカイロで温める
・朝・昼・晩と3回、リズムを作るために食後に貼る
【2】運動をする
散歩、インターバル歩行で循環を良くしたり、筋肉を増やすことで、自律神経を鍛えよう。
・散歩は距離ではなく、一定のリズムで 15~30 分、ほどよく行うことが大切
・インターバル歩行は、3分ゆっくり歩き、3分早歩きを繰り返す運動を 15~30 分程度実施。
1分間で 60~80 歩、2秒吸って4秒吐く呼吸法を推奨
【3】首肩の筋肉をストレッチする
ストレスにより緊張しやすい筋肉を緩めることで、副交感神経が優位になる。
・両手を後頭部に添えた状態で手の重みで首の後ろを伸ばす
・ゆっくり上を向くことで首の前を伸ばす
・首をゆっくり左右真横に倒す
・肩甲骨周り、腰(骨盤周り)、背中、太ももの裏、ふくらはぎの筋肉を伸ばす
【4】身体を温める食べ物を多く摂取する
深部体温が上昇することで、臓器が安定し、自律神経も安定する。
・土の中の食べ物(根菜類)、冬や寒いところで取れる食べ物を多く摂る
【5】規則正しい生活
睡眠、排便、食事は身体のリズムを作る基本であり、自律神経に強い影響を与える。
・太陽に当たることで、睡眠物質の前駆物質であるセロトニンを増やし、眠りやすい状態を作る
・睡眠は 7時間程度とし、夜23時~朝 6時の間、寝るのが理想的
・3 食きちんと食事をする 食間が前後 1時間 +α 程度あれば、個人の食事タイミングに合わせて 1日 2 食でも OK
【6】入浴(汗をかく)
1日 1回はお風呂で副交感神経を優位にする、または汗をかくなどで自律神経を鍛えよう。
・必ず 1日 1 回お風呂に入り、体温を上げる
・夜に38~40℃のお風呂に15~20分ほどつかる
・お風呂につからない場合は、首から肩甲間部に少し熱め( 42℃程度)のシャワーを30~60秒あてる
【7】なるべく暖房や冷房器具に頼らない
冷暖房に頼ると自律神経を使わないため、自律神経の活動が悪くなる。
教えてくれた人
伊藤和憲先生/学内・明治国際医療大学鍼灸学部学部長。同大学公認メデカルアスレチックトレーナー 教育プログラム監修。学外・(一社)エビデンスに基づく統合医療研究会理事他。
構成・文/介護ポストセブン編集部