【風邪】今季は特に注意!鼻水→喉痛→咳と移行、重篤化も
秋から冬への季節の変わり目は、風邪が流行しやすい時期。毎年、この時期に患者が増えるのは定石だが、今年は特に気をつけるべきだと、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅医師が指摘する。
「例年以上に寒暖差と気圧の変化が激しく、毎週のように台風が来るなど、天気が安定しない。このように一日の温度差や週の温度差が激しいと、自律神経のバランスが乱れて免疫力が低下し、風邪を引きやすくなります」
そのうえ、今年の風邪は重篤化しやすい。工藤内科副院長の工藤孝文医師が特徴を解説する。
「鼻水、のどの痛みが出て、それから咳が出始める、いわば『風邪のフルコース』。さらに治りかけてからも空咳が数週間続き、長引いてしまう傾向にあります」
ただでさえ忙しい年末に向けて、予防は万全にしたいもの。しかし、それが間違った「古い常識」に基づいた対処なら、どんなに手を尽くしても意味がない。医師たちの経験と理論に基づいた、風邪の「新常識」をお伝えする。
風邪は夜に引く
外出時には厚着をしたり、マスクをつけたりと、あれこれ予防をしているが、家の中では無防備になる人も多い。とくに睡眠中は顕著である。だが、夜こそ風邪の魔の手が伸びてくる時間帯なのだ。
「夜間は部屋の温度が下がり、風邪のウイルスが増えやすい環境にあります。その上、睡眠中は唾液の量が減るため、のどが乾燥してのど元に風邪のウイルスがたまりやすくなる。睡眠中は体内に侵入したウイルスを殺してくれる、マクロファージという白血球の活動も低下する。風邪を引きやすい状況が整ってしまっているのです」(工藤医師)
睡眠中に風邪の予防をするにはどうすればいいのか。
「加湿器を使ったり、保湿マスクをつけたり、保湿を心がけて睡眠を取りましょう。また、充分な睡眠を取ると副交感神経と交感神経のバランスが整い、免疫力が高まるので風邪を引くリスクを減らせる」(工藤医師)
うがいは緑茶で飲み込め
風邪のウイルスがのどからやってくるのは、日中も同じ。菌が体内に侵入しないように、うがいでのどを守ることも定番の予防法だ。
「普通のうがいよりも効果的なのは、抗ウイルス効果と抗細菌効果のあるカテキンをたっぷり含んだ緑茶でうがいをすること。その際、緑茶は吐き出さずに飲み込んでください。うがいでは届かない咽頭についたウイルスを胃に流し込むことができ、胃酸でウイルスや細菌が死滅します。私も患者さんを1人診療するごとに、この方法でうがいをしています。おかげでここ20年、風邪には縁がありません」(栗原医師)
うがいは「ガラガラ、ペッ」ではなく「ガラガラ、ゴックン」が新しい常識なのだ。予防のためにはうがい薬を使うのもいいが、のどにウイルスが付着し、腫れてしまった後では逆効果になる。
「うがい薬は刺激が強いので、すでにのどが赤く腫れている時に使うと、炎症を起こしやすくなります」(栗原医師)
※女性セブン2017年11月30日・12月7日号
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