肉を多く食べるor食べない、お酒飲むor飲まない…どっちが長寿?
“日常のちょっとした選択”で、あなたの寿命が変わるとしたら!? 科学的な調査に裏づけられた、魔訶不思議な長寿の法則を紹介します。
肉をたくさん食べる人vs.食べない人
まずは、「肉をたくさん食べる人と食べない人」はどっちが長生きするかについて。高齢者こそ肉を食べてほしいと言うのは、ナグモクリニック東京院・更年期外来担当で、日本機能性医学研究所所長の斎藤糧三さん。
「年をとるほど、たんぱく質の摂取で、筋肉量の低下が抑えられることがわかっています。ですから、肉を食べることで、転倒や寝たきりのリスクが少なくなります。
ただし65才までは、動物性のたんぱく質のとりすぎ(適量は肉で1日500g~600g)は、かえってがん細胞の発育も促進する場合も。度を越して食べすぎないよう注意して」(斎藤さん)
一方、65才を過ぎると「がんリスクは上がらない」と斎藤さんはいう。成人は動物性たんぱく質に含まれるアミノ酸バラスで、成長因子分泌が増す。その結果、がんがあった場合は、それを促進してしまう(発がん性を上げるわけではない)。しかし高齢になると成長ホルモンの分泌が下がるので、その影響が低い。安心して食べられそうだ。
お酒を飲む人vs.全く飲まない人
つづいて、「お酒を飲む人と全く飲まない人」はどっちが長生きするかについて。
米・テキサス大学の研究チームが、飲酒について55才から65才の1824人を対象に、20年以上にわたって観察している(2010年)。調査対象者を「重度の飲酒者」「適量の飲酒者」「飲酒をしない者」の3つに分類した。すると、飲酒しないグループの死亡率は69%と最も高かった。続いて重度の飲酒者が60%、適量の飲酒者が41%。
在宅医療の施設を運営する長尾和宏さんは、こう語る。
「酒は百薬の長といいますが、少量を飲むと胃腸の血流がよくなり、食欲が増進したり、ストレス軽減になったり、お酒の効用がさまざま出てきます」(長尾さん)
また、肝臓の臓器機能の維持としても、多少の飲酒は必要との見方もある。
「消化器は休みすぎると機能が落ちることがあります。適量のアルコールを入れておく方が、血流の面でも肝臓の解毒を維持する意味でもいいと考えられます」(前出・斎藤さん)
なんと、肝臓のために飲酒が必要だった。
生まれ持った体質、体型は関係あるのか?
生まれ持った体質や体形も、長寿と関係があるのだろうか?
ハワイ大学の教授が、1900年~1919年に生まれた8006名の参加者を約158cm未満とそれ以上などのグループに分け、約50年間、追跡調査した。すると、身長が高い人ほど生存期間は短くなっていたという。
また、低身長の男性はFOXO3という長寿遺伝子を持っている人が多いことも判明した。
だが、この結果に、動物の専門家である哺乳動物学者でねこの博物館館長、日本動物科学研究所所長の今泉忠明さんは首をかしげる。
「不思議な結果です。小さい方が長生きなら、小さい遺伝子が残るので、人間全体が小さくなるはずです。
孔雀のオスが美しいのは、メスに選ばれるため。これは性淘汰といって、進化の過程で重要です。人間の場合は、足が長かったり、容姿がいい男性がモテる傾向にあります。ですから、人間はだんだん大きくなっているのです」(今泉さん)
この理屈からいえば、背が高い人の人口が増えていることになるが、背が低い人は高い人より長寿になることで、自分の種を残せる機会を増やしているのかも。
初出/女性セブン
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