【介護のお金】自己負担を節約する「世帯分離」など裏ワザを伝授
平日昼間の病院の待合室は患者がごった返し、介護施設は定員オーバーで入所待ち。65才以上の高齢者が人口比の3割を占める日本では、医療費と介護費の増大が目下大問題となっている。しかし実は、支出を見直すと、家計をグッと楽にする裏ワザがたくさんあった。
介護保険の自己負担限度額は被介護者個人の収入ではなく、世帯全体の所得で決まる。つまり、家族の中に高収入の人間がいると世帯全体の収入が高くなり、限度額も上がってしまう。
これを避けるための裏ワザが「世帯分離」である。介護保険に詳しいファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが説明する。
「通常、現役世代の子供と同居する親は、1つの世帯員として住民票に記載されます。しかし、被介護者が自治体に世帯分離の届出を出せば、自己負担金の上限額もその人個人の収入に応じたものになるのです。戸籍課の判断によっては認められないケースもありますが、基本的に低所得者がトクする仕組みといえます」
例えば被介護者が年間80万円以下の年金収入のみの場合、高額介護サービス費の自己負担額は1万5000円。
一方、家族合わせた世帯収入だと自己負担額3万7200円に該当する場合、世帯分離をすれば月額2万2200円、年間18万円の節約になる。
毎月のケアプランの自己作成でムダに気づく
どの介護サービスをどれだけ利用するか…毎月のケアプランの作成は、現状99%の人がケアマネジャーに依頼している。これを自分で作成してみると、思わぬムダが見えてくる。
毎日の通所サービスは本当に必要なのか、介護保険で借りている手すりや歩行器、歩行補助杖でいらない物はないか…。ケアマネジャーに丸投げしている時には気づかない支出が多数見つかるはずだ。
ケアプランの自己作成には、時に専門知識が必要になる場面も出てくるが、主体的な老後生活を援助し、ケアプランの自己作成にも協力してくれる「全国マイケアプラン・ネットワーク」という市民団体もある。
要介護認定3以上で手当が支給される自治体も
全国の自治体は各々が創意工夫の上、独自サービスを展開している。東京・江戸川区では、60才以上で要介護認定4~5、住民税非課税世帯の場合、さらに一定の条件を満たせば「熟年者激励手当」として月額1万5000円を支給している。
中央区でも、65才以上の在宅介護生活を送る住人の中で、区内に6か月以上居住しており、要介護認定3以上かつ3か月以上寝たきりまたは認知症の状態にある場合、月2万円の支給を年に4回受けられる。
同様に独自サービスを展開する自治体は全国各地にある。自分の住む地域がどんな介護サービスをしているか、確認してみると思わぬ発見があるかもしれない。
※女性セブン2017年5月11・18日号