「笑って、健康」の実証データが続々!日常に笑いを取り入れる3つの方法
「笑う門には福来る」「笑いは百薬の長」――有名なことわざにもあるように、笑いが健康にいいというのは昔からいわれてきた。しかし、これまで笑いが認知症予防につながるといった報告はあったものの、健康な人を対象にきちんと調査されたことはなかったのだとか…。それが今回、75才以上の高齢者を対象にした実験で、ついに笑いが健康にもたらすデータが発表された――。
やっぱりそうだった! 納得の実験結果
「まずは下の表を見てください」
そう言うのはパフォーマンス学の教授・佐藤綾子さんだ。
佐藤さんは75才以上の女性11人を対象に、ある実験を行った。その内容は次の通り。
まず初めに血圧や体温、血中の酸素濃度や脈などを計り、その後に笑い話を聞く時間「ラーフタイム」を設ける。その日から8日間、日常的に笑いを見つけるトレーニングをしてもらい、8日目に2度目のラーフタイムを実施。最後に再度計測をする。その結果、実験前と実験後で、最低血圧(拡張期血圧)は平均約5mmHg下がり、体温は約0.2℃、酸素濃度は0.45%上がった。これは「軽い有酸素運動をした時と同じ状態」と指摘する佐藤さんは、他にも気づいたことがあった。
実験が進むにつれて、高齢者たちの顔つきやメンタルも、どんどん変わっていったのだ。
「最初に私が挨拶した時は“テレビで見たことがあるような人が来た”とかヒソヒソ話をされていたけれど、8日後には、“先生、おはようございます”と大きい声で挨拶してくれたり、あめをくれた人もいました」
佐藤さんがいちばん驚いたのは、会話が多くなったこと。
「実験初日と最終日にスピーチタイムを設けて、1分間に何文字しゃべるかをカウントしたんです。すると、多い人で1分間に今までより60文字も多くしゃべるようになりました。そのかたは、高齢出産の経験がある女性で、ずっと誰にも言わずに秘密にしていたそうです。でも笑って開放感が出たことで、みんなに聞いてほしいと思うようになり、話し始めたら止まらなくなってしまったんです」
あの吉本と近畿大もコラボで「笑い」を医学的検証
時を同じくして、近畿大学と吉本興業がコラボして「笑い」の効果を医学的に検証する研究を始めた。被験者に吉本新喜劇や漫才を見てもらい、心と体の健康に与える効果を調べるというもの。吉本新喜劇の定番ネタ「乳首ドリルすな!」で人気急上昇中のお笑い芸人・吉田裕(37才)は、笑いを提供する側として実験に参加している。
吉田は、「真面目な研究だから、笑ってもらえなかったらどうしようと、寿命が縮まるような思いでした」と笑う。
「でもね、笑えばストレスが発散できるというし、祖母は90才まで生きましたが、よく笑ってとても元気でした。新喜劇の先輩、桑原和男師匠は81才ですけど、若い子のネタを見て笑っているし、楽屋で“昨日、こんなことありましてん”なんて話して、みんなで笑っているからすごく元気です」(吉田)