《シニアの筋力アップ術》朝食は「卵とチーズ」が正解! 整形外科医が教える、効率的に筋肉をつける食事の法則
健康のためには運動と同じくらい、食生活も大切だ。『動ける体が大復活する 1分体操』(アスコム)を上梓した整形外科医の中山潤一さんも、「栄養学を重視している」と話す。そこで、運動の効果をより高めることにもつながる、シニアの健康を維持する食生活のコツを教えてもらった。
たんぱく質を意識して摂ること
基本的には満遍なくいろいろな栄養素を摂ることが理想だが、その中でも「たんぱく質」を意識してしっかりと摂るのがいいという。研究などでも、年齢が上がってから筋肉をつけるためには、適度なたんぱく質の摂取が不可欠だということが明らかになっている。たんぱく質には、牛乳や肉、魚などの動物性のものと、大豆などの植物性のものと2種類があるが、どちらのたんぱく質も重要なため、意識的に両方を摂るようにしよう。
「ちなみに、私がおすすめする朝食は、チーズをのせたツナトーストです。チーズもツナ(マグロ)もたんぱく質が豊富です。ツナではなく、シラスなどでもいいでしょう」(中山さん・以下同)
シニアは特に乳製品を分けて摂る
牛乳やヨーグルト、チーズといった乳製品は、肉などと比べてシニアでも摂取しやすいたんぱく源だが、一度にたくさん摂るよりも分けて摂るほうが、筋肉を作るたんぱく質の合成が効率的に進む。
「数回に分けることで、24時間を通じて筋肉の合成が活発になります。特に高齢者では、この『分割摂取』の効果が顕著に表れることが、研究で確認されています」
ビタミンDも重要
たんぱく質を効率よく利用するためには、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンKといった各種ビタミンが必要だが、なかでもビタミンDが不足していると、たんぱく質不足の場合と同じように、運動の効果が表れるまでに時間がかかるという。ビタミンDは舞茸やエリンギ、乾燥椎茸や乾燥きくらげといったキノコのほか、卵にも含まれている。
「ですから私は、朝は必ず卵を食べることを患者さんたちにおすすめしています。ゆで卵、目玉焼き、オムレツ、スクランブルエッグ、卵焼きなど、手軽に調理できて、栄養価の高いのが卵料理の特徴です」
摂りすぎに注意したい栄養素もある
シニアは食が細くなりやすく、栄養不足になりやすいため、意識的に食事を摂ることは大切だが、摂りすぎに注意したい栄養素もある。それは「糖質」だ。糖質自体は体に必要な栄養素であり、体を動かすエネルギーのため、摂取自体は必要だが、摂りすぎると寝たきりなどの原因につながることがある。
「寝たきりになる大きな要因としては、脳梗塞などの『脳卒中』があります。糖質の摂りすぎは、動脈硬化を招き、ひいては脳梗塞や心筋梗塞の原因になります」
糖質の摂りすぎは筋力低下を招くこともある
高糖質の食事は筋力を低下させやすいというデメリットもある。糖質に偏った食事は、糖質だけでお腹がいっぱいになりやすく、たんぱく質の不足を招くが、たんぱく質に含まれる「ロイシン」という必須アミノ酸が不足すると、筋肉を維持する力も、増強する力も低下してしまうためだ。
また、糖質の多い食事をすると、血糖値が乱高下してしまい、筋肉の合成に必要なホルモンバランスも崩れてしまう。
「さらに、高糖質の食事は『体内の炎症』を促進します。体内の炎症というのはウイルスなどから体を守る正常な反応ですが、炎症が慢性的になると筋肉がどんどん分解されてしまいます。ですから、筋肉を守るためにも、糖質は摂りすぎないでいただきたいのです」
アルコールも筋力の低下につながる
過度な飲酒も筋力低下にもつながる。アルコールは筋肉を合成するように指令する体のシステムをブロックし、新しい筋肉を作る働きの邪魔をするうえ、腸での栄養素の吸収を妨げるため、食事から十分なたんぱく質を摂っても、十分に体へ栄養が行きわたらなくなってしまう。
また、お酒を飲みすぎると眠りが浅くなるため、深い睡眠中に分泌される筋肉の成長や修復に欠かせない「成長ホルモン」が分泌されず、傷ついた筋肉が十分に修復されなくなってしまう。
「特に高齢者の成長ホルモンの分泌はもともと減っているため、その影響がより大きく表れることが研究で確認されています。このように過度な飲酒は筋力の低下につながるので、そもそも筋力が低下しやすい年齢の方は、お酒は適度にとどめなければならないのです」
教えてくれた人
中山潤一さん/整形外科医
なかやま・じゅんいち。中山クリニック院長、医学博士。大阪医大(現大阪医科薬科大学)卒業後、神戸大学整形外科入局。基幹病院で臨床経験を積み、医学博士号を取得後、神戸逓信病院医長、神鋼加古川病院医長を経て、2011年に中山クリニックを開業。有床診療所として年間380件の手術を行い、介護事業も展開するほか、保存療法、再生医療、関節鏡手術、エコー(超音波)治療など幅広い症例を手掛ける。著書に『動ける体が大復活する1分体操』(アスコム)など。YouTubeチャンネル「医師 中山潤一『整形外科・消化器内科』/兵庫県明石市の中山クリニック」https://www.youtube.com/@nakayama-clinic
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